中国のミドル市場開拓戦略と日系企業
主席研究員 金 堅敏
2009年7月
要旨
金融危機の影響で新興市場の開拓が加速される。特に一人当たりGDPで3,000米ドルを越えた中国経済は比較的高い経済成長を続けており、中間所得層の増加が著しい。消費者市場も拡大しているが、省エネ、環境ビジネスのような法人市場も急拡大している。成長する中国市場を攻略する日系企業に新たな取組みも見られる。市場変化への反応、顧客への訴求、PR戦略などが挙げられる。
ただし、事例研究を通じて確認できたのは、日系企業には高所得者或いは高付加価値市場分野への拘りとミドル市場開拓の取り組みに悩みが見られる。本稿は、高付加価値市場戦略を継続しつつ、ミドル市場開拓のための「高品質」、「エコ」に加え「変革」、「勢い」などのブランド力の充実、マルチブランド・マルチチャネル戦略、過剰な品質や贅沢なサービスの割愛によるトータルコスト・パフォーマンスの向上、低コスト生産に止まらずミドル市場の販売ノウハウの取得などのミドル市場開拓に向けた示唆を提示する。
また、高い技術力や高品質を有するにもかかわらず、中国のパフォーマンス志向の政策や市場変化をいち早く読み取れず苦戦している一部の日系企業の姿も確認できた。成功事例の分析を通じて本稿は、パフォーマンス志向のビジネスモデルを早急に確立するとともに、日本での経験・ノウハウの蓄積や現地でM&Aによる資格、人材、ノウハウの取得を、日系企業に提起している。
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