臨床研究における利益相反マネジメントに関する規程の現状と課題
主任研究員 西尾 好司
2009年4月
要旨
- 米国では、1994年より臨床研究において利益相反のマネジメントの実施やNIHへの報告が連邦政府の規程により義務付けられている。しかし、NIH自身による大学等への現地調査の結果、マネジメント対象者の選定、研究実施後のマネジメントに問題を抱えていることが明らかになった。さらにNIHの上部組織であるDHHSによるNIHに対する監査の結果、NIH自身もグラント提供先の機関における利益相反のマネジメント状況の把握に多くの問題を抱えていることが判明した。
- 米国では臨床研究の利益相反マネジメントにおいて、個人の利益と大学という組織の利益が連動しており、個人レベルの利益相反のマネジメント実施組織である大学自身の利益相反への対応が重要となっている。そして、医学系大学の団体からの提言では2010年までに大学として組織レベルの利益相反のマネジメント体制を構築し実施することが求められている。
- 日本では2008年3月に厚生労働省の科学研究費補助金(厚労科研費)における利益相反のマネジメント指針が作成された。大学は早急に臨床研究における利益相反のマネジメント体制・規程の整備をしなければならない。厚労科研費が対象とする研究領域は、医学領域よりも対象が広くなることから、この指針の影響は広範囲にわたる。指針の内容については不明確な点も多く、マネジメントが機能するためには、厚生労働省は単に指針を作成するだけでなく、指針が機能し日本の臨床研究の発展のために、関係者が状況(ケース)を議論し、情報・ベストプラクティスを共有できる場を構築する必要がある。
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