労働拘束時間が運動習慣に与える影響について
-「健康会計」に向けた企業と社会にとっての新たな視点
研究員 河野 敏鑑
2009年1月
要旨
医療技術や衛生環境の向上によって、感染症による死亡者数・患者数は大きく減少し、健康は公衆衛生上の問題から個人的な問題になりつつある。しかし、日本において死亡者数や医療費の多くを占めるようになった生活習慣病は個人の問題という側面を持ちつつも、勤務環境などの個人にとって容易に左右することができない環境要因の影響を受けていることが指摘されている。
本稿では、労働拘束時間を個人の健康に関する選択を阻害している外部的な要因としてとらえ、運動習慣・運動時間との関係を分析した。その結果、実際の運動時間を決定するにあたり、労働拘束時間や運動に割きたいと考えている時間の割合、運動によって体調が変化した経験があるのか否かが、大きな要因となっていることが明らかになった。
これまで、労働時間や通勤時間といった指標は、ワークライフバランス(WLB)の観点から、少子化対策などと関連付けて議論されることが多かった。本稿ではそうした側面とは別に、労働拘束時間が運動習慣などにも影響することを明らかにした。また、従業員の健康に対して企業が取り組むことによって、企業自身にも様々なメリットがあることを示唆し、そのメリットを可視化する枠組み(例えば、「健康会計」)が求められていることを明らかにした。
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