日本の医療産業イノベーション
主席研究員 田邉 敏憲
2007年10月
要旨
最近の世界的な医療の潮流をみると、現代西洋医学のみならず、5,000年の蓄積を誇る東洋医学など伝統医療や栄養学の知見を融合させた“統合医療”、あるいは免疫力・代謝機能を高める“予防・未病医療”が米欧を中心に急速に支持を得てきている。
しかも、米国などでは1990年代央から普及が始まったIT(情報技術)で可能となった伝統医療・食品の有効性やその定量化(“見える化”)を踏まえ、漢方薬草のコード化(約7,000種類)・DB化を進め、伝統医療分野での特許取得も活発となっている。
米国等の伝統医療に対するプロパテント姿勢は、知財・特許戦略など各国の科学技術政策にも大きく影響するだけに、今こそ日本も、こうした世界の大きな潮流に沿って、統合医療実現のため国をあげての取組みが必要となる。
また日本でも、従来から各地域に存在する農水産業を安全・安心かつ免疫力を高める産業として捉え始めており、いわば農水産業の「食料産業」から「健康産業」化、延いては医療との統合も必要になってきている。
このように医療を産業と捉え、しかもIT革命で可能になった“医・食・農・環境”産業の統合といったシステム・イノベーションを推進することで、クルーグマン・米プリンストン大学教授の指摘する経済の3大課題「経済成長」「雇用創出」「所得再配分」に対しても、医療を「所得再配分」に偏した社会保障的視点に限らず、「雇用創出」「経済成長」のビークル産業と捉える政策となる。
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