主任研究員 浜屋 敏
上級研究員 瀧口 樹良
客員研究員 前川 徹
2007年10月
金融商品取引法の2009年3月期からの適用を控え、わが国の上場企業では今後ますます内部統制を評価し強化するための取り組みが進むことは間違いない。しかし、内部統制に対する取り組みは、コンサルティング業界やソフトウェア業界などサービス提供側の過度な宣伝文句を鵜呑みにした過剰反応と、業界横並び的な形式主義に陥ってしまう危険性も否定できない。そこで、本稿では、アンケート調査結果にもとづいて、日本企業における内部統制の取り組み状況について内部統制の6つの構成要素別に詳細に明らかにすると同時に、内部統制を形骸化させずに、不祥事発生リスクの低下や業務の効率的な遂行といった目的を達成するために必要な条件は何かということについて分析し、考察した。
本稿の結論として、6つの構成要素のうち内部統制の目的ともっとも関係が強いのは、企業の社風や行動原理、経営トップの関与といった統制環境の確立であることがわかった。ところが、現実には統制環境よりも統制活動の方を優先している企業の方が多い。マニュアルの整備や業務フローの作成など統制活動を整備することも必要だが、統制環境を疎かにしては内部統制の目的を達成することは心もとない。統制活動の整備は先行するアメリカ企業の事例や他社事例を参考にすることもできるが、社風や行動原理といった統制環境は、個々の企業の歴史や経営環境、組織風土にあったものでなければならない。統制環境を確立することこそが、自社ならではの効果的な内部統制システムを整備するうえでもっとも重要なことである。
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PDF 内部統制を形骸化させないために [1334KB]