中国市場における環境評価の動向と日本への影響
研究員 大隈 慎吾
主任研究員 生田 孝史
上級研究員 濱崎 博
2007年6月
要旨
本研究では、中国の環境問題の中でも社会問題化している食の安全性と都市部の大気汚染問題に注目し、食品と自動車のそれぞれについて、中国都市部の消費者の環境配慮型商品に関する意識を調査した。具体的には、上海市の消費者に対して聞き取り記入法によるアンケート調査を実施し、複数の属性について経済的価値を定量的に把握できる分析手法であるコンジョイント分析を採用した。
環境配慮型食品に関しては、「有機食品」や「緑色食品」に関する認知度が十分に高く、産地についても「近郊」の食品が好まれる。属性の重要性は、米については「味」が最も高く、「品質」、「産地」の順で続いた。環境配慮度を示す「品質」の限界支払意思額(MWTP)は、米が約2.1元/kg、トマトが約1.6元/500gであり、両者とも、実際の市場における通常品と緑色商品の価格差内にある。
自動車に関しては、運転免許の保有率が回答者の4割以下であったこともあり、メーカーおよび駆動方式に関する選好はあまり明確でない。属性の重要性は、「メーカー」、「燃費」、「駆動方式」、「馬力」の順であった。「燃費」のMWTPは7,570元、「駆動方式」のMWTPは6,820元であり、ハイブリッドカーとガソリン車の価格差に比べて小さい。
中国都市部における消費者の環境に配慮した購買行動は、食料品のように身近な環境被害に直結し、価格の安い日用品については、十分成熟しているものの、自動車のような環境影響が間接的で価格の高い耐久財については、いまだ成熟していない。ただし、全体的に環境配慮財に関する認知度は高まっているので、中国でのマーケティングにおいては、環境配慮型商品市場の成熟のスピードについて注視する必要がある。
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