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No.271 : 企業成長の条件

研究員 齊藤 有希子

2006年8月

要旨

企業成長にはどのようなメカニズムが働いているのだろうか。また、成功企業は、どのような成長の過程を経てきているのであろうか。この点を明らかにするため、中小企業のデータベース(各年約50万社)を用い、企業規模(総資産)の変動に関する分析をした。本研究の特徴は、既存研究で見落とされがちな企業成長の「履歴効果」(過去にどのように成長してきたかという成長の履歴が、今後の成長にどのような影響を及ぼすかという過去依存性)に注目した点にある。分析の結果、以下のことが確認された。(1)企業成長には、履歴効果が存在する。(2)多くの企業では、前期に規模拡大したほど、さらに規模拡大する確率が高くなり、また、過去に規模拡大を続けるほど、履歴効果が強く働いて、規模拡大する確率が高くなる。(3)一方、規模の小さな企業では、前期に規模拡大したほど、さらに規模拡大しにくくなり、続けて規模拡大することが困難である。これらの結果から、企業成長の履歴効果は、企業内部の「調整コスト」により生じているのではなく、「レピュテーション」などの企業外部の要因により引き起こされている可能性が高い。履歴効果が「レピュテーション」により引き起こされていると仮定すると、企業成長には、企業外部との関係(金融機関との関係や企業間の取引関係など)が重要であるが、規模の閾値(総資産1億円程度)未満の企業では、このような外部との関係が確立されていないと考えられる。したがって、中小企業の公的支援として、総資産1億円以下の企業に対して、金融機関との関係や企業間の取引関係の構築のサポートを行うことは有効であると考えられる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 企業成長の条件 [518 KB]