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  5. わが国の加工組立型製造業におけるスマイルカーブ化の再検証

No.261 : わが国の加工組立型製造業におけるスマイルカーブ化の再検証

主任研究員 木村 達也

2006年5月

要旨

  1. スマイルカーブ化現象論は、90年代半ば以降に提唱され2000年代に入り大きな拡がりをみせた。これは、加工組立型製造業を中心とする製品のバリューチェーンの付加価値(率)または利益(率)が、従来加工組立で高かったがグローバル競争の進展のもと低下し、両端の素材・部品やサービス等で上昇したとするものである。スマイルカーブ化は、ほとんど実証されていなかったため、木村(2003)では99年までのデータによる実証を行った。本稿では、木村(2003)以降の変化を反映するため、04年までのデータを用い再実証を行った。
  2. 再実証を行った業種は、木村(2003)と同じ加工組立型製造業全体と個別6業種(民生用電子機器、民生用電気機器、電子計算機・同付属装置、通信機械、乗用車、トラック・バス・その他の自動車)である。また検証は、85,90,95,97,99,03,04年のバリューチェーンの各段階別利益率(利益率カーブ)の計測によった。検証結果よると、本稿での追加計測年次である03、04年にスマイルカーブ化が観察されたのは、加工組立型製造業全体と電子計算機・同付属装置である。また03年までは民生用電子機器にも90年代に生じたスマイルカーブ化の継続がみられた。
  3. 利益率カーブの計測に加え、(1)各計測年の労働分配率が85年と同等と仮定した利益率カーブの計測、(2)85年比の各計測年における利益率変動の要因分解??を行った。その結果、スマイルカーブ化の原因として、(1)中核部品の標準化やオープンなモジュラー化に伴う加工組立型製造業の付加価値率、利益率の低下と、(2)労働分配率の上昇??の存在が示された。一方、スマイルカーブ化が観察されない業種でも、民生用電気機器や乗用車で、また加工組立型製造業全体でも、(1)が潜在的に進行していることが示された。団塊の世代の定年退職などから、今後賃金率が上昇すると、民生用電気機器、乗用車を含む多くの製造業で、スマイルカーブ化が顕在化する可能性がある。したがって加工組立型製造業の各企業は、自社の利益率変動の要因を正確に分析・把握し、利益拡大戦略を検討することが重要となる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF わが国の加工組立型製造業におけるスマイルカーブ化の再検証 [981 KB]