No.253 : 金利プライシングの統計的分析
研究顧問 岩村 充/客員研究員 渡辺 努/研究員 齊藤 有希子
2006年3月
要旨
中小企業が金融機関等から借入れる際に適用される金利は信用リスクを適切に反映しているのだろうか。この点について考察するため、本稿では、約 50 万社の中小企業について1995年から2003年までの9年間の金利とPD(Probability of
Default, 推定デフォルト率)の変遷を解析した。本稿の主要なファインディングは以下のとおりである。
第 1 に、各年のクロスセクション分布はほぼ同じ形状をしており、また,そこから一旦乖離しても復元性がある。この意味で両変数のクロスセクション分布は定常性をもつ。
第 2 に、金利とPDのある年からその翌年にかけての遷移はそれぞれの過去の動きに影響されており(「履歴効果」)、両変数ともに、ある年に上昇または下落すると翌年はその反対の方向に変化する確率が高まるという引き戻しの傾向が見られる。このように、金利とPDの変遷は、定常分布に収斂しようとする力と元の水準に止まろうとする力の綱引きで決まっている。
第 3 に、PDと金利を比較すると、金利の方が過去に引きずられる度合いが弱い。これらのファインディングは、金融機関等がPD の趨勢的な変化と一時的な変化を区別した上で、趨勢的な変化が生じたときに限って金利を変更している可能性を示唆している。
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