主席研究員 武石 礼司
2004年8月
アジア諸国のエネルギー消費量は、中国をはじめとして各国で急増中である。特に、電力需要が中国で年率10%を超える勢いで伸びており、石炭に9割を依存する中、急増する需要をまかなうことができるかが大きな課題である。また、輸送用を中心とする石油製品需要も急増しており、しかも、インドネシアが石油の純輸入国化したために、アジア諸国は中東からの輸入にますます依存せざるを得ない。
アジア諸国のエネルギー消費は今後も増えつづけ、2020年に向け、日本の伸び率は年率1%程度に止まるが、その他のアジア諸国は年率2%から3%台での伸びが続くと予測できる。エネルギー消費量は、アジア各国において、2020年には2000年に比べて倍増すると予測できる。
石油埋蔵量に関しては、従来は生産可能年数(R/P比)を中心に議論がなされてきたが、今後は、ピークオイルという考え方を重視する必要がある。豊富な埋蔵量を有する中東諸国においても、今後生産量を増加すればするほど、ピークオイルの時期を早期に迎えることになる。埋蔵量および生産量のピークを過ぎた後は、生産量は減退に向かい、生産コストも増大する。
石油需要の増大を受けて、アジア地域における精製設備の増強は着実に進められているが、中東原油の処理に適した2次設備の増強は、中国においては特に不足しており、今後の設備投資が必要となっている。石油製品を自由に取引できる市場をアジアで育てることが重要である。
日本企業がアジア諸国においていかに企業展開していくべきかという点は、5.1.から4.で述べたように、適所を選ぶという方針に基づき、積極的に市場を獲得していくことが必要であり、かつ可能な状況が生まれている。
一方、日本政府の政策としては、民間企業の活動分野が拡大するのに合わせて、方針の転換が必要となっている。規制緩和がアジア全域で進むため、従来採用してきた規制値基準と呼ばれる政府が絶対安全を保障するための制度を作る方式から、リスクベースと呼ばれる、被害と便益との比較考量して、国民の理解を求める政策への転換を図る必要がある。さらに、多国間の協力体制を構築して、民間企業に市場での活動を広く任せる場合に生じがちな利益優先の傾向を是正し、環境配慮をもたらすように、各国間の合意形成を図る努力が必要である。
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PDF アジアの経済発展とエネルギー制約 [738 KB]