No.180 : 情報技術革新と情報サ-ビス業生産性
-日本の情報サ-ビス業の全要素生産性向上を阻むものは何か-
主任研究員 峰滝 和典
2003年12月
要旨
- IT不況を経て、電気機械産業のなかにはハードウェアからソフトウェアやITサービス分野に業務の重点を移す企業も多数出てきている。日本の情報サービス業は、他の日本のサービス業と同じく低生産性に陥って来たが、いまや情報通信革新の中で高生産性への脱却を迫られている。
- 情報サービス産業の特徴として、一社で完結して業務が行われるのでなく、外注化・協働(コラボレーション)といった企業間の連携が一般的になされていることが挙げられる。これらは人件費等のコスト削減や、社外の技術・ノウハウの利用といったことが目的として指摘されることが多い。実際、よく知られているように、情報通信技術企業の中心地、米国のシリコンバレーでも企業がコミュニティを形成し、コミュニティ内のコラボレーションが日常的になされている。
- シリコンバレー・モデルでは、頻繁な技術革新の下、部品の生産は外注にまかせた方が合理的である。しかしながら、単に頻繁な技術革新の下で、常に部品を外注することが望ましいとは限らない。実際、新しい技術革新が起きるごとに部品間の調整や摺り合わせが必要である場合は、外注化することは困難であるといわれている。外注化が成功するには、外注化する部品が「モジュール化」していることが必要である。
- 外注化の程度を表す「外注比率」(売上高に対する外注費の比率)は、「モジュール化」が全要素生産性を劇的に向上させている場合は、当然強い正の影響を生産性に与えなければならない。しかし、実証分析の結果、情報サービス産業全体として、外注比率は全要素生産性に負の影響を与えていることがわかった。その理由は、開発・生産工程のモジュール化がこの産業では、十分にはなされていないにも関わらず、外注化を行なっていることにある。
- また実証分析の結果、システムエンジニア数の増加は全要素生産性上昇率に対して概ねマイナスの影響を示していることがわかった。ソフトウェア構築を例にとって考えると、システムエンジニアを増加させてもコミュニケーションを図るための労力が大きくなりかえって非効率性を増すという現象が当てはまる。ネット上で世界各国のエンジニアが無償で技を競いあっているLinux型の開発では異なった結論となることも予想されるが、今回の実証分析の対象期間である90年代においてはこうした開発の型はまだ一般的ではなかったと考えられる。
- 外注化が効率的に行われることが、日本の情報サービス産業の競争力の向上には不可欠である。そのためには、工程の全体を管理するプロジェクト・マネージャーの育成が急務である。また、開発者同士のコミュニケーションが円滑になり、業務分担もスムーズになる組織編成が重要となる。企業間のコラボレーションが成功するためには、企業内の組織の効率化が必要である。
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PDF 情報技術革新と情報サ-ビス業生産性 -日本の情報サ-ビス業の全要素生産性向上を阻むものは何か-
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