No.173 : 日本のバイオ企業における技術獲得戦略
-特許情報から見た技術導入・大学等との連携活動の課題-
主任研究員 西尾 好司
2003年8月
要旨
- バイオ産業の発展のためには、我が国のバイオ関連の研究開発費の半分を使用する大学や公的研究機関の研究成果の実用化が必要であり、そのためには、大学等との研究成果の橋渡し役を担うバイオ企業の発展が不可欠である。
- バイオ企業の成長には、技術戦略が重要なことから、バイオ企業の技術戦略のうち、1.起業のシーズの確保、2.起業後の大学や公的研究機関等との連携戦略に焦点を当て、その課題を検証した。
- 1.については、技術移転を目的に役員兼業が認められている国立大学教員を対象に発明状況を調査し、大学等の研究成果を活用する場合の課題を検証した。2.は、バイオ企業138社を抽出し、対象企業の特許出願動向や社外との連携活動を調査した。
- 1.の起業シーズに関して、教官の発明の大半が既存企業から出願されており、バイオ企業に移転したシーズを安全に活用できるようにするためには、過去の発明の権利関係を整理する必要がある。
- 2.の設立後の研究開発活動に関して、特許出願件数は少なく、出願企業も対象の4割と少数であったことから、バイオ企業の技術開発活動は活発ではない。また、特許出願人からは、大学や公的研究機関との共同出願や企業との共同出願が少ないことから、社外との連携も少ないことが明らかになった。
- 大手製薬企業と連携できている企業では、技術開発力の高さだけでなく特許戦略ができている。大学等の教員が参加するバイオ企業は増加しており、こうした活動を通じて、独自の技術開発は活発になると予想される。しかしバイオ企業が成功するには、技術戦略、中でも特許戦略は不可欠であり、国の研究開発プログラムにおいても、バイオ企業が特許を取得できるような支援が求められる。また、大学等もベンチャー企業を支援するために研究成果の専用実施権や独占実施件を許諾できるような方針を整える必要があるであろう。
全文はPDFファイルをご参照ください。
PDF 日本のバイオ企業における技術獲得戦略 -特許情報から見た技術導入・大学等との連携活動の課題- [710 KB]
