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No.170 : 地域主導による温暖化対策の推進

主任研究員 生田 孝史

2003年7月

要旨

  1. 地域レベルでの温暖化対策の重要性に対する認識は進んでおり、都道府県や大都市を中心に、温暖化対策推進計画や温室効果ガス削減目標の設定を行う自治体が増え、具体的な取組みが進みつつある。その一方で、大規模な産業がなく周辺からの人口流入が続く支店経済型都市において、自ら設定した削減目標の達成が極めて困難となっているという問題や、予算・人員面での制約によって地域の取組みを支援するための基盤整備が遅れ、必ずしも効果的な対策が行われていないなどの課題がある。
  2. 地域における温暖化対策の課題を克服するためには、まず、域内の省エネルギー活動以外の(オフセット型)プロジェクトを重視することによって、目標達成のために費用対効果の高い対策を選択しやすくしながら、域内産業育成の選択肢を拡大することが必要である。特に産業育成の基盤整備のためには、削減目標達成を担保する市場形成、育成プログラム、資金供給の枠組みが必要である。また、排出量取引など市場メカニズムの活用によって、目標達成のための対策総費用の最小化、域内事業者の経験蓄積、温室効果ガスの経済価値への認識浸透による域内取組みの促進を図ることができる。さらに、行政、企業、住民によるパートナーシップを円滑に機能させるために、核となるべき民間団体と企業の連携強化、ならびに税制面の優遇措置や削減クレジット買取りシステムの導入などによる民間団体の経営基盤強化が求められる。また、地域連携による取組みへと発展させることによって、対策の選択肢拡大、対策費用の削減、域内事業者の事業機会拡大、他地域への影響力強化などを図ることが可能となり、例えば、削減クレジット共同管理を通じて域内取組みの付加価値向上(環境ブランド化)のための連携を図ることもできるようになる。
  3. いくつかの自治体では、地域特性を反映させながら、国に先駆けた独自の温暖化対策の取組みを進めている。新たな政策手段の可能性を模索している点で高く評価されるが、将来的にはある程度の標準化が求められる可能性がある。また、規制や負担強化だけではなく、事業機会の創出という視点がより重視されることが大切である。
  4. 我が国の温暖化対策のあり方を考える際、国に期待される役割は、京都議定書の目標達成を目的とした施策の実施と国際的な制度設計への積極的な貢献であるが、地域に期待される役割は、実験・実証の場として自由な温暖化対策を率先実施することである。特に産業部門における産業育成と、民生部門における自発的な行動・参加を促す仕組みづくりが重要課題であり、地域における成功体験が国内政策へと反映され、国全体の温暖化対策の推進に寄与することが期待されている。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 地域主導による温暖化対策の推進 [1.37 MB]