No.168 : 消費と資産効果・逆資産効果-家計のバランスシート問題への一考察
上級研究員 新堂 精士
2003年6月
要旨
消費の停滞の背景には、将来への不安や期待将来所得の低迷など期待や心理に関わる問題、また消費者のニーズにあった財・サービスの供給が十分でないという供給側の問題に加え、家計のバランスシートの問題があると思われる。特に日本経済にとって最大の問題ともいえるデフレとの関わりからは、家計のバランスシートの問題を考えることが重要である。具体的には、デフレにともなう負債の実質価値増大によって生じる債務を抱えた消費者の消費抑制と、資産デフレによる資産価格の下落によって生じる逆資産効果の消費への影響が重要な論点となる。
本稿では、こうした問題意識に加え、資産効果・逆資産効果の対称性の有無や、資産の種類による資産効果の違いなどの論点も考慮して、消費と資産効果・逆資産効果の関係について考察した。考察にあたっては、富士通総研において実施したアンケート調査を活用した。分析の結果、以下のようなインプリケーションが得られた。
- 消費低迷の背景に、住宅ローン世帯の消費が、住宅ローンを抱えていない世帯に比べ、より抑制されているという事実がある。
- 住宅ローンが年収の2倍を超えているような家計は、経済情勢の変化に対し、そうでない世帯(ローン残高が年収の2倍以内)に比べより敏感に消費を変化させる。こうした世帯は、最近の景気の低迷で、所得の低下と所得見通しの悪化により消費を抑制している。
- 住宅の資産価値が変化しても、消費を変化させる家計は必ずしも多くない。ただ、価値上昇と下落で比較すれば、価値の上昇に対してよりも価値の下落に対しより敏感に反応し、資産効果と逆試案効果は非対称的である。
- 株式の資産価値が変化した場合は、住宅の場合より多くの家計が消費を変化させる。株式の資産効果は必ずしも比例的でなく、資産効果と逆資産効果の対称性は金額によって異なり、金額が大きくなると対称的でない。
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