No.164 : 企業の研究開発における社外資源活用の実態と課題
主席研究員 安部 忠彦
2003年5月
要旨
- 急変する経営環境への対応として、企業は研究開発を重視している。企業の研究開発における近年の特徴として社外支出研究開発費の急増など社外資源活用の活発化が挙げられる。
- 社外資源活用の活発化は、新製品開発のスピードアップ、技術獲得を主目的としている。その背景には、企業の利益確保手段が、従来の生産設備や生産ノウハウの保有・管理や販売・サービス網の保有・管理から、特許による(製品・技術)保護や製品の先行的な市場化競争にシフトしたことがある。ただしここ5年及び将来に向けて、電気機械や精密機械のように利益確保手段が大きく変化した産業と、自動車や医薬品産業のようにあまり変化しない産業とに2極化していることには留意する必要がある。
- 利益確保手段が急変した電機や精密機械産業の特徴は、製品のモデルチェンジ期間が大幅に短縮化したことである。その背景には両産業とも通信電子計測分野に研究開発費を多額に投じていることがある。通信電子計測分野は日本の研究開発費が最も投じられている分野であり、この分野における技術開発が他分野以上に急速に進み、モデルチェンジ期間が短縮され、製品開発スピード競争が進み、社外資源活用が活発化している。
- 社外資源活用に関して企業はほぼ期待通りの成果をあげ、将来に向けても社外資源活用が増加する傾向が見て取れる。社外資源活用における問題は、従来の自前主義を前提とした体制や姿勢からの転換が進んでいないため、必要な社外技術を見出し獲得するマネジメント力やその評価力不足、組織不足、社外技術の吸収能力不足などである。また社外資源活用の経験が浅い化学や機械産業において、「社外資源活用の重要性を感じたがやらなかった」という回答が比較的多いなど、産業別の差が見られる。
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