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No.159 : 将来不安と消費者行動
- 「団塊の世代」を含む50代を中心とした分析

主任研究員 長島 直樹

2003年4月

要旨

「将来不安の増幅が消費抑制につながっている」と繰り返し言われるが、その実態に関する分析例はほとんどない。本稿は不安心理の中でも「将来の所得が減少してしまうかもしれない」という経済的不安に関して、その意味内容を特定した上で、不安と消費の関連を分析するものである。特に、マクロの個人消費について大きな影響力を持つ「団塊の世代」、50代を中心に論じている。現在の消費不況には平均的には高所得である熟年層の消費抑制が大きく寄与していると考えられるためである。マクロ統計や他の調査ではデータに限界があるため、当研究を目的として独自のアンケート調査を実施し、その個票分析に拠った。

分析結果は以下の通りである。

  1. 将来不安の内容は年齢階層別に明瞭な特徴をみることができる。その中で、消費全体への影響力が大きい団塊の世代を含む50代は、不安要因が混在している。年金、健康、賃金そして雇用の不安がいずれも突出することなしに同居する様子がうかがえる。
  2. 将来不安と消費の関連は複雑である。単に「年金不安を払拭すれば、あるいは雇用の安定性さえ確保すれば、消費が全体として増える」というほど単純な関係は存在しない。消費項目ごとにみると、ある種の不安と特定の消費項目に強い関係が観察できるケースもある。ただ、消費項目によっては、「消費増加が将来に対する不安心理を敏感にさせている」という逆の経路を示唆するケースもある。このため、消費全体との関連が曖昧になっている可能性が高い。
  3. 不安と消費の関連は年齢階層によって大きく異なる。若年層は将来不安と消費の関連が希薄である一方、熟年層になると個別消費項目に関しては各種の不安と様々な関連が観察される。このことは、「年齢が上がるほど将来不安における"将来"のタイムスパンが長くなっている」ことと関係がありそうである。将来を予測するという心理的行為は、"長期の将来"を持つ若年層ではなく、生きてきた期間の長い高齢層において活発であるという観察結果は、経済学の想定する合理的な個人とは異なる状況を示しており、示唆するところが大きい。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 将来不安と消費者行動 -「団塊の世代」を含む50代を中心とした分析 [283 KB]