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  5. 退職金(退職一時金・企業年金)に関する税制の見直し —公的年金の財源として—

No.157 : 退職金(退職一時金・企業年金)に関する税制の見直し
—公的年金の財源として—

公共コンサルティング事業部シニアコンサルタント 柏木 恵

2003年3月

要旨

  1. 本稿の目的は、整合性のとれていない退職金(退職一時金・企業年金)に関する税制をわが国の年金税制の方式である拠出時・運用時非課税、給付時課税に統合し、それによって得られる税額を試算し、その算出された税額を公的年金の基礎部分の財源として提案することである。
  2. 近年における年金に関する議論は、公的年金の財政破綻の懸念や世代間の不平等などから、1.給付額の引き下げ、2.保険料引き上げ、3.消費税の目的税化などが主流である。しかし、筆者は現行制度の見直しで公的年金財源の確保ができるのではないかと考える。年金税制、なかでも退職金に関する税制、つまり退職一時金と企業年金に対する税制のあり方について見直しすることで公的年金の財源が確保できると考える。なぜなら退職金に関する現行税制の歪みを是正し、統合することによって得られる税金を公的年金における基礎部分の財源に充当できれば、保険料や税負担の引き上げや給付額の引き下げをある程度遅らせることができるからである。また自らの税金が自らの年金財源となるため、子や孫といった世代間の負担も軽減されると考える。
  3. 本稿において、退職金に関する税制の持つ特殊性と問題点を明らかにした。そしてわが国の年金税制の方式である拠出時・運用時非課税、給付時課税に立ち戻り、退職金に関する税制の制度間格差をなくし、統合することを提案する。
  4. 各論としては、拠出時非課税実現のために、適格年金と個人年金の所得控除を現在の生命保険料控除から社会保険料控除に変更することを提案する。運用時非課税実現のために、特別法人税を廃止することを提案する。給付時課税実現のために、租税優遇措置である公的年金等控除額と退職所得控除額の廃止もしくは縮小を提案する。
  5. その提案をふまえ、公的年金等控除額と退職所得控除額の廃止もしくは縮小によって生じる税収増を試算した。廃止の場合、試算額は1兆4,554 億円となった。これは公的年金財源に対する国庫負担金の割合が現状の1/3 から1/2 に変わる場合に厚生労働省が試算した1999 年度時点2.2 兆円の負担増のうち66%をこの試算額でまかなうことができる結果となった。さらに2025 年度では3.7 兆円の負担増になると予測され、約40%をまかなうことができる計算となった。平成13 年度消費税額(国税)で計算すると、1999 年度の2.2 兆円の負担増は1.075%の消費税アップに相当し、2025 年度の3.7 兆円の負担増は1.808%の消費税アップに相当する。
  6. さらに拠出時非課税を実現するために適格年金の所得控除を社会保険料控除に移行した場合の税収減も試算した。移行した場合は4,179 億2,729 万円の税収減となる。これを税収増の1兆4,554 億円に加えると1 兆0,375 億円の税収増となった。公的年金財源に対する国庫負担金の割合が現状の1/3から1/2に変わったと仮定した場合、1999 年度時点では2.2 兆円の負担増となり、このうち約47%をこの試算額でまかなうことができる結果となった。さらに2025 年度では3.7 兆円の負担増になると予測され、約28%をまかなうことができる計算となった。
  7. これらを勘案すると、この試算額は公的年金の基礎部分の財源になりうるとして税制の見直しを提案する。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 退職金(退職一時金・企業年金)に関する税制の見直し —公的年金の財源として— [522 KB]