No.156 : 中国で発展する台湾IT産業
—対中投資、現地生産の展開と世界への影響
主任研究員 朱 炎
2003年2月
要旨
- IT産業は台湾最大の産業であり、強い競争力を持っている。IT産業のなかでは、パソコンが最も強く、大きな世界市場シェアを維持している。最近では、半導体と液晶分野でも急成長が続いている。成長する原因の1つとして、積極的な対中投資があげられる。
- 台湾のIT産業は、近年、コスト削減、OEM生産の規模拡大、競争力の維持のため中国に積極的に投資し、生産基地を中国に移転してきた。パソコンと周辺機器の中国生産量はすでに台湾を上回るようになり、大きな利益を上げている。
- 中国における台湾のIT産業の発展には、安い労働力の活用、OEM生産で輸出志向、台湾企業間での部品供給による産業連関の形成、現地生産の製品の高度化、といった投資と生産に関する経営手法が大きく貢献している。
- 台湾IT産業は中国で主に華南と華東の2大地域に集積している。華南地域では、主にパソコンの部品、周辺機器、デスクトップパソコンの生産に集中しているが、華東地域ではノートブックパソコン、半導体と液晶の生産が急増している。両地域は、労働力と人材、研究開発能力、輸出と国内販売、産業政策と政府の支援など、それぞれ異なった優位性を持ち、台湾のIT企業は自らの生産と経営の特性によって、この2大IT集積地を活用している。
- 台湾IT産業の対中進出には、近年、国内販売と研究開発の強化、大型生産基地の建設など、新しい動きが見られる。また、対中投資と現地生産は技術レベルが高い分野に転換しつつある。ノートブックパソコン、半導体、液晶分野の投資と現地生産が急増している。
- 台湾IT産業の対中投資により、台湾海峡を跨る地域は世界のIT産業の生産基地になっている。また、低価格製品のOEM生産で、世界のIT市場に大きな影響を及ぼしている。日本企業はIT製品の調達、販売及び共同投資を通じて、中国にある台湾IT産業の集積を活用すべきである。
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