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No.154 : 電力会社の経営体力

主任研究員 武石 礼司 ISO14000審査員(CEAR登録環境審査員補A4823)

2003年2月

要旨

  1. 電力産業における自由化が進行中であり、2004年度には第二段としての高圧需要家のうち500kW以上が、次いで2005年度には50kW以上の高圧需要家の残りの部分に関する小売部門の自由化が行われる予定となっている。電力需要量のおよそ26%の自由化が実施された2000年3月の特別高圧需要家に対する自由化に加え、高圧需要家向けの小売が自由化されることで、2004年度で約4割、2005年度にはおよそ6割の需要家が自由化の恩恵を受けて自由に電力の供給先を制度上は選択することが出来るようになる。自由化された契約口数が、特別高圧の場合の全国では9千件であったが、高圧部分では74万口あるため、2005年には全体では約75万口まで自由化部分が拡大し、今後の電力産業のあり方に対して大きなインパクトを持つ。さらに2005年度中には、懸案であった電力取引市場も開設される予定である。
  2. 電力自由化が必ずしも全面的な電力価格の低下を意味するものでないことは明らかとなってきている。それでも、需要家の多様なニーズに電力供給者が応えていく可能性を高める制度が導入されることは、自由化の実施おける最低限の要請となる。分析を行った結果、自由化されたはずの大口需要家は、実は未だ契約の自由を完全には得ていない場合が多いとの結論に達した。特別高圧の産業用および業務用の需要曲線分析から、価格メカニズムがまだうまく働いていないと分析されたからである。今後も、需要家側の立場に立った制度の設計とその効果が全面的に現れる状況を作り出す努力が欠かせない。
  3. 次いで、日本の実情に合った電力産業関連の制度作りを、昨今の小さな政府が指向される中でいかにして進めていくべきかを検討するために、電力会社の置かれている立場とその寄って立つ基盤である経営体力についての検討を行った。2002年に電力各社は料金の値下げを実施したが、実施時期と引き下げ率は会社により異なった。従来の横並びの決定が維持できなくなりつつあることが判明した。電力会社の今後の需要の伸びは地域差が大きく、東京および中部圏では堅調に推移するものの、関西を始めとした、他の地域では伸びは極めて少ないと予測される。決算状況を見ても、格差は大きく、圧倒的に大きな営業キャッシュフローを維持するガリバー型企業と呼べる東京電力と比べると、他社の力は1社ごとでは弱い。設備資金、および経費の削減の効果も、東京電力が最も大きい。
  4. 料金の引き下げ可能性について試算を行なうと、中部電力は、比較的需要が順調に伸びているために、主要顧客の離脱といった不測の事態が生じない限り、引き下げ余力は比較的大きい。東京電力は2002年に7%の引き下げを行った影響で次にもし引き下げをするとしても、2005年となってしまうとの試算結果となる。関西電力について見ると、同社の管内では電力需要の伸びが、日本の他の電力会社と比べて最も低い伸びしか期待できないため、2002年に引き下げを実施した後、2008年に至って要約再度5%の引き下げが実施できるのに止まる、との結論を得た。
  5. 電力産業においては、取引市場の導入が予定されたこともあり、競争がますます激化すると考えられる。今後、より強い電力産業を作り出し、諸外国のモデルとなり、諸外国で導入されていくような革新的なシステムを構築するとの目標に沿うように、制度設計のファインチューニングを適宜敏速に行なっていくことが最も重要である。制度のパフォーマンスの検証としては、電力需要家の多様なニーズを満たすことがどこまで出来るかが重要である。競争が常に生じえる状態を維持し、電力価格の引き下げの可能性が残されている場合には、自由化された電力供給システムはうまく動いていると判断できる。
    果敢にチャレンジする企業が不断に参入してくる、魅力ある産業として、電力産業が今後も発展し、グローバルに適応できる日本発の自由化モデル形成が進むことを、電力自由化推進の成果として期待したい。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 電力会社の経営体力 [835 KB]