No.153 : 企業の環境会計への取り組み状況分析
主任研究員 武石 礼司 ISO14000審査員(CEAR登録環境審査員補A4823)
2003年2月
要旨
- 平成13年末段階において、環境報告書を作成している東証1部、2部上場企業全社から環境報告書を取り寄せて調査・分析を行なった。環境報告書作成企業は352社であり、そのうち環境会計を記載・公表している会社数は200社であった。業種別の取り組みの特徴を検討し、さらに、集計項目名等、各社において一般化して用いることが可能な分野を抽出するとともに、その一方、多様性を残すことが可能な分野が存在するかについても検討してみた。
- 環境会計実施企業は、業種別に見ると、電気機器が38社で最も多く、次いで化学が22社、輸送用機器が19社、食料品が14社、機械が12社、電気・ガスが10社、建設とガラス・土石製品それに精密機械がいずれも8社ずつ、卸売業が7社となっている。医薬品、非鉄金属、金属製品、その他製品の4業種においては、6社が環境会計を実施している。
- 上場企業数が多いにもかかわらず実施企業が少ないのは金融業である。また、サービス産業の取り組み数も少ない。これら企業においては、製造業のように環境会計に取り組むことで直ぐに効果が現われるという面が少ないために、取り組みが遅れているもとの考えられる。
- 環境会計の導入時期は、1998年から開始した企業が少数存在している。1999年あるいは2000年から開始した企業が多くなっている。また、最近になって公表する企業が急速に増え出していることがわかる。
なお、環境会計の導入範囲に海外を含むと記述している会社は12社あった。 - 環境会計においては、コストを記述するほか、それに対する経済効果を対比させることが期待される。しかし、費用のみを記載する例も多く存在する。また、コスト項目の一部としての投資額に関する記載がない場合も多い。公表すべき段階に達していないと判断しているためと注釈している例も見られる。
経済効果として上げられている項目には、省エネ、リサイクル、省資源、廃棄物の削減、有価物の売却収入等があり、そのほか、CO2削減のような見做しの効果を見積もって計上しているケースも存在する。
投資・経費の合計と、効果の額とを比べると、効果の方が上回ったと報告している企業が15社あった。 - コスト項目と経済効果項目の項目名を見ると、費用項目としては、公害防止と地球環境保全が多くの企業において重要であるが、企業によっては研究開発、あるいは資源循環の費用額が最も大きくなっていた。
効果項目においては、省エネの実施を意味する地球環境保全、リサイクルと省資源を意味する資源循環の2つの項目が最も多く採用されている。また、企業によっては、実質効果と見做し効果とに分けて記載している例もある。 - 環境会計に取り組む企業・団体数が急増しているが、その取り組みの内容は、各社とも環境会計を導入してからまだ日が浅いためもあって、千差万別となっている。環境会計は、財務会計と多くの点で異なっており、取り組みは難しい。しかし、環境会計の導入が今後も増大し、一定規模以上の企業にとっては必ず要請されるものとなると予想できる。
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PDF 企業の環境会計への取り組み状況分析 [1.60 MB]
