No.152 : 京都議定書発効後の国内対応
—地域・民間主導による温暖化対策の推進—
主任研究員 生田 孝史/上級研究員 濱崎 博/研究員 齊藤 有希子
2003年2月
要旨
- 富士通総研が2002年6月から7月にかけて都道府県及び特例市以上の主要市区175自治体を対象に実施したアンケート調査(回収率96%)によれば、環境対策の中で地球温暖化問題が最も重視されており、特に追加的な対策が必要な問題として認識されている。自治体による現状の温暖化対策は、住民への環境教育が中心であり、特に自治体規模が小さくなると、一部の自治体を除いて、具体的な取組みがあまり進んでいない。温室効果ガス排出量については、都道府県・政令指定都市の約9割が把握しているのに対して、中核市・特例市では2~3割程度の把握にとどまっており、削減目標の設定についても、自治体の規模によって設定状況に大きな違いが見られた。また、4割近くの自治体が独自の温暖化対策を実施・検討中であり、ほとんどの自治体が興味を持っている。
- 温暖化対策の遅れは、我が国にとって、温室効果ガス削減の遅れにつながるばかりでなく、新たなビジネス機会を逸する結果となる可能性がある。イノベーションの促進を視野に入れた早期の温暖化対策は、競争力を高める上で必要不可欠である。排出量取引などの制度設計によって、インセンティブ供与と市場整備を進めている欧州に比べて、我が国は温室効果ガス削減に対する市場整備が手付かずの状態であり、温暖化関連の支援ビジネスへの出遅れも目立っている。政府が2004年まで抜本的な対策を行わない状況において早期取組みを進めるためには、地域からの温暖化対策の重要性が高まっている。
- 地域特性を考慮した独自の温暖化対策を策定する際には、対象とする削減主体と削減プロジェクトを設定した上で、他自治体との連携や第三者機関の活用によるプログラムの拡張を検討することが望ましい。削減手段選択の自由度の高さという観点からは、自主取組み型プログラムの導入が優位であり、産業部門への導入が最も適している。一方、削減プロジェクト実施の原資確保と対象プロジェクトの拡大という観点からは、基金型や独自課税型のプログラム導入が優位である。また、自主取組み型や基金型プログラムにおいては、削減クレジットの一部あるいはプロジェクト収益の配当を、域内でのみ交換可能な地域環境商品券とすることによって、自発的なプログラム参加者に対するインセンティブ強化と、域内への資金還流を図ることが可能である。
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