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No.147 : 中国の自由貿易協定へのアプローチとその影響

主任研究員 朱 炎

2002年11月

要旨

  1. 中国は自由貿易協定(FTA)の締結を積極的に推進しており、ASEAN及び香港との間に今後のFTA締結について合意し、交渉を開始した。
  2. 中国とASEANとのFTAは、貿易・投資の促進、10年以内の自由貿易の実施、メコン川開発など多岐にわたる。農産品など一部の品目の早期自由化は2004年から実施する予定。FTAに対して、中国は政治関係の改善と自国経済成長への促進効果を期待するが、ASEAN側は中国の高成長の恩恵を享受するなど、FTAによる経済的利益を重視する。FTAの実施により、中国とASEANの双方とも大きな経済利益を享受でき、相互間の貿易と投資が拡大し、経済成長が促進される。
  3. さらなる緊密な経済貿易協力の取り決め(CEPA)」と呼ばれる中国と香港の自由貿易関係は、物とサービス貿易の自由化、投資と貿易の簡素化を主要内容とする。香港はCEPAによる経済成長への促進効果を期待している。関税の撤廃、サービス業の早期対中進出は、香港のみならず、香港に進出する外国企業にも大きなメリットをもたらす。中国にとっても、CEPAを通じて香港経済を支援し、「一国二制度」を支えるのみならず、香港のビジネス機能を一層活用することができるようになる。
  4. 中国のFTA推進は、WTO加盟と同様に重要な戦略的意味を持つ。経済パワーをバックに、政治関係の改善や地域安保協力体制の構築など政治的目的達成にも寄与する。経済面では、FTAの実施に伴い、今後、中国は地域経済大国として、アジアの地域経済協力と経済統合により重要な役割を果す。
  5. 中国のFTAへのアプローチは、地域経済協力と経済統合を加速し、大中華経済圏の形成を促進し、アジア経済に大きな影響を及ぼす。中国のFTAは日本にも刺激を与え、日本はFTAに対する態度を積極化させた。アジアに展開する日本企業にとっても、FTAによりアジアにおける効率的な生産体制の構築が促進される。

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PDF 中国の自由貿易協定へのアプローチとその影響 [944 KB]