主任研究員 長島 直樹
2002年10月
不良債権処理や公的部門改革の加速は重要だが、現在直面している"構造的な需給ギャップ"を放置したままでは、改革進行の摩擦が大きく、スムーズにいかない可能性が高い。理想的なのは、財政負担に依存することなく近年低調な消費需要を底上げしながら一気に構造改革を加速するシナリオではなかろうか。消費不振の背景には高所得者層・団塊世代の消費萎縮がある。特に団塊世代は貯蓄志向を強めるライフサイクルに入っている上、将来期待の低下が追い討ちをかけている可能性がある。
本稿は上記のような問題意識に基づいて、期待所得、期待インフレ、所得リスクといった期待・リスク要因が平均消費性向にどのように影響を及ぼしているのか検証を試みたものである。所得階層別に分析した結果、以下のような観察結果が得られた。
団塊世代がライフサイクル的に消費を抑制していると推測される現状で、上記の分析結果を踏まえれば、「期待インフレを高めることによって団塊世代の消費を前倒しする」という政策インプリケーションが得られる。具体的には「所得税減税と高額消費に対する消費税増税の段階的実施」というポリシーミックスが有効である。直間比率の是正と同時に、追加的な財政負担に依存せずに消費需要の前倒しが行われることが期待できる。
全文はPDFファイルをご参照ください。
PDF 期待と消費-期待所得・期待インフレなど諸期待が消費に与える影響 [561 KB]