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No.146 : 期待と消費-期待所得・期待インフレなど諸期待が消費に与える影響

主任研究員 長島 直樹

2002年10月

要旨

不良債権処理や公的部門改革の加速は重要だが、現在直面している"構造的な需給ギャップ"を放置したままでは、改革進行の摩擦が大きく、スムーズにいかない可能性が高い。理想的なのは、財政負担に依存することなく近年低調な消費需要を底上げしながら一気に構造改革を加速するシナリオではなかろうか。消費不振の背景には高所得者層・団塊世代の消費萎縮がある。特に団塊世代は貯蓄志向を強めるライフサイクルに入っている上、将来期待の低下が追い討ちをかけている可能性がある。

本稿は上記のような問題意識に基づいて、期待所得、期待インフレ、所得リスクといった期待・リスク要因が平均消費性向にどのように影響を及ぼしているのか検証を試みたものである。所得階層別に分析した結果、以下のような観察結果が得られた。

  1. 消費性向との関連を考える上で重要なのは、期待所得や期待インフレといった期待であって、これらを所得増加率や物価上昇率の実現値と置き換えて考えることはできない。
  2. 散布図でみると、消費性向は低所得者層では期待所得、所得リスクに影響を受け、高所得者層では期待所得、期待インフレに影響を受けている。
  3. 関数推計及び時系列分析からは、すべての所得階層で消費性向が期待インフレの影響を受けている、との結論になる。
  4. したがって、共通の結論は「高所得者層の消費性向は期待インフレが高まると上昇する」ということである。マクロ経済への影響を試算すると、期待インフレが1ポイント上がることによって消費は2.5兆円増え、GDPは約0.5%増加する。

団塊世代がライフサイクル的に消費を抑制していると推測される現状で、上記の分析結果を踏まえれば、「期待インフレを高めることによって団塊世代の消費を前倒しする」という政策インプリケーションが得られる。具体的には「所得税減税と高額消費に対する消費税増税の段階的実施」というポリシーミックスが有効である。直間比率の是正と同時に、追加的な財政負担に依存せずに消費需要の前倒しが行われることが期待できる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 期待と消費-期待所得・期待インフレなど諸期待が消費に与える影響 [561 KB]