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No.144 : 自治体の解体と再生に関する一考察

主席研究員 松山 幸弘

2002年10月

要旨

  1. 財政危機を契機に国と都道府県、市町村の役割分担見直し、市町村の統廃合が不可避の状況にある。これに関して、地方分権改革推進会議が「ナショナル・ミニマムの達成からローカル・オプティマムの実現へ」という方向を示した。経済財政諮問会議も、「負担に値する質の高い小さな政府実現のための歳出改革」を強調した上で、「国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で進める」という方針を明らかにしている。
  2. 国が地方自治体の信用を担保していることもあり、わが国には地方自治体の破産に関する法制度上の定めがない。替わりに国による強制的な救済策として準用再建方式という仕組みが設けられている。しかし、準用再建団体転落の抜け道があるため、実質財政破綻した地方自治体の抜本改革が先送りされる結果になっている。
  3. 岐阜県や青森県が自己評価した結果によれば、住民に対して行政サービスを最も効率的に提供するという観点から見直すと、国や市町村、民間に移管することで都道府県が担うべき行政サービスを約半分に縮小できる。さらに、警察業務を都道府県から完全に切り離し、公立大学、公立病院を非公務員型独立行政法人または民営化するという発想に立てば、都道府県が提供する行政サービスは約4分の1に縮小可能と思われる。
  4. 非公務員型独立行政法人化に向けての最大のバリアーは、給与と退職金といった金銭面の処遇が民間勤労者より公務員の方が良く、公務員側にインセンティブがないことである。ちなみに、国家公務員に準拠している地方公務員の退職金は、民間勤労者退職金より約20%高い。国・地方公務員の老後生活資金積立不足の現在価値は143兆円であり、それ自体が財政圧迫要因である。
  5. 従って、行政サービスのディスインターミディエーション(都道府県の卸機能の縮小)、非公務員型独立行政法人化といった行財政改革の潮流を加速するためには、「公務員の処遇は民間勤労者の平均的水準に合わせる」という基本原則に立ち返り、公務員退職金の20%引き下げ、地方公務員共済年金・国家公務員共済年金と厚生年金の統合といった措置をセットで実施する必要がある。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 自治体の解体と再生に関する一考察 [530 KB]