No.142 : ITを活用した知識創造社会の実現にむけて
-プラットフォームとしてのコミュニティ-
上級研究員 湯川 抗
2002年10月
要旨
- 知識創造社会への移行に向け、インターネットの普及はどのような役割を果たし、また政府、企業、個人はそれをどのように活用すべきなのだろうか。本稿では過去の文献調査を基に、今後我が国がインターネットを有効活用して実現すべき知識創造社会の具体的なイメージの形成を行うと共に、新たな知識創造のプラットフォームとしてのインターネット上のコミュニティに関して、オープンソースコミュニティを中心に分析した。
- 知識創造社会とは「様々な分野の専門家が、所属する企業や地域といった枠組みを超え、それぞれの専門知識を高度化することのできる社会」といえる。知識創造社会の実現に向け、今後はインターネットを活用した高度なコンテクストを共有する個人間の情報交換が行われることが必要である。
- 本稿では『オープンソースコミュニティ』をインターネットを活用した知識創造のプラットフォームの代表的事例として分析した。オープンソースソフトウエアの開発者コミュニティであるオープンソースコミュニティは、新たなプラットフォームとして企業以上に有効に機能している。また、コミュニティにおける知識創造は、非経済的なインセンティブを基に行われているところに特徴がある。
- コミュニティを活用して専門知識を獲得する個人や、オープンソースコミュニティを活用する企業は増加しつつあり、知識創造のプラットフォームとしてのコミュニティの活用は既に進み始めている。そして、企業組織ではなくコミュニティを知識創造のプラットフォームとして活用するための手段と外部条件は成熟しつつある。
- 知識創造社会を実現するためには、コミュニティによる知識創造の特徴である非経済的なインセンティブによって生まれた知識を経済的価値に変換することが、重要である。既に、コミュニティによって創造された知識を流通しやすくするためサービスとサポートに特化した事業を行う企業もみられる。今後、企業はコミュニティという新たなプラットフォームで創造された知識を実際の製品やサービスに結び付け、既に生み出されている知識からの財の生産量を増やす必要がある。
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