No.138 : 消費者行動のモデル化に関する一考察
-情報処理の観点から-
2002年7月
要旨
時間の稀少性に直面している消費者の情報収集と意思決定について、経済学の価格サーチ理論や経営学の消費者行動理論の先行研究を踏まえ、独自のアンケートを実施し、消費者行動のモデル化を試みた。考察の結果、以下のような結論を得ることができた。
- 商品の存在やその品質や価格といった情報をサーチする消費者にとって最も大きなコストは、サーチに費やす稀少な時間であると考えられる。
- 情報のサーチにコストがかかる場合、サーチは通常途中で打ち切られる。従って、消費者は「全ての取り得る選択肢を比較考量した上での最適化」を行うことはできず、何らかの簡易的意思決定ルール(ヒューリスティックス)に基づく意思決定を行うことになる。
- 消費者は商品への関与(こだわり)によって情報収集や意思決定の方法を変えている。高関与な財については、できるだけ多くの情報を収集した上での多面的な評価基準による慎重な意思決定が行われ、低関与な財については情報収集を余り行わないで、簡単な意思決定が行われる。
- 消費者の情報収集に当たってはインターネットを中心とするITが役立つが、収集した情報の比較や検討、さらにそれを既存の知識と結びつけ意思決定に役立てるようにする情報生産活動には、過去の経験や確立した評価基準などの自身の蓄積が重要な役割を果たす。
- 情報サーチが途中で打ち切られ、サーチで得た情報の再生産活動にも時間を必要とし、情報再生産活動における蓄積の重要性をも考慮すると、インターネットの普及だけでは情報の非対称性の緩和や取引費用の軽減は限定的にしか生じない。
- 企業の情報提供のあり方として、低関与な財・サービスの提供では、いたずらに詳細な情報を提供することは無駄になる。従って、情報をできるだけ殺ぎ落として提供する一方、消費者の関心をひくことが重要となる。
- 高関与な財・サービスについての情報提供においては、幅広く細かな情報をまとめて提供する一方、意思決定時に経験が重視されることを考慮し、インターネット情報だけでなく、実際に見たり聞いたりできるリアルな情報を、アンテナショップなどを利用して合わせて提供することが重要となる。
全文はPDFファイルをご参照ください。
PDF 消費者行動のモデル化に関する一考察
-情報処理の観点から- [334 KB]
