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No.135 : 電力産業の将来と地域自立のエネルギーシステム

主任研究員 武石 礼司

2002年5月

要旨

地方経済の立て直しが急務となっている。地方自治体も財政が窮地に陥っており、多くの自治体が破綻寸前という状況にある。地方経済が悪化した原因は、社会システムに起因する構造型不況が生じたためと考えられる。従来採用されてきた経済システムに原因があると考えられ、今後は地方経済の回復のためには、新規産業を、従来とは全く異なった発想に基づき、新しい担い手により生み出す必要がある。

地方におけるエネルギー供給の自立性が高まることは、各地方の財政基盤を強化する効果があり、さらに環境負荷の低減にも役立つ。エネルギー分野における規制緩和が進む中、地域におけるエネルギーの自立性を高め、エネルギーの利用効率を向上させるためには、市場メカニズムを活かしながら、地域で得られるエネルギーの価格競争力の強化を図る必要がある。

エネルギー分野においては、電気料金の動向が注目される。新エネルギー導入、省エネプログラム実施の進捗度に、電気料金の推移が大きく影響する。また、今後、分散型発電設備であるマイクロガスタービンと燃料電池の価格競争力は、格段に高まると予測できる。2010年までの電力供給価格を予測した結果、電力会社のうちで最も経営体力がある東京電力の値下げ可能性を超えた価格を、分散型電源は提供できる可能性が生じるとの結論を得た。この結果、今後の分散型電源導入の急増に見合ったエネルギー供給システムの整備を急ぐ必要があり、料金制度の柔軟化、分散型の増加を見込んだ送配電設備の整備を急ぐべきであるとの結論に達した。

また現在、エネルギー、環境およびごみ処理の分野では多くの「新手法」が提案されている。例えば、省エネの効果が大きく、電力会社の側においても利益が出る手法として、デマンドサイドマネジメント(DSM)が良く知られている。日本でも導入が進んでいるDSMに加えて、ネガワット(日本訳では「節電所」と訳される)と呼ばれる新手法導入の効果を見積もり、省エネルギー効果が大きいとの推計結果が得られた。

以上の検討から、地域分散型の電源を組み込み、資源リサイクルを取り込んだ、地域におけるエネルギー環境システムを構築することが可能となるとの結論に達した。エネルギー安定供給は地域発展の基礎であり、今後、防災性を備えた分散型設備が普及し、しかもエネルギー価格の低減に寄与できると予測される。各地方自治体は、分散型電源導入策の導入を急ぐ必要がある。ただし、エネルギー自立をもたらすバイオマス資源の存在状況は、自治体ごとに差異が大きい。したがって、各自治体ごとに資源循環型、環境負荷低減型のシステム構成を検討し、最適なシステムを主体的に形成していく必要がある。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 電力産業の将来と地域自立のエネルギーシステム [276 KB]