富士通総研

  1. ホーム >
  2. 調査・研究成果 >
  3. 研究レポート >
  4. 2001年 >
  5. 東アジア域内分業の変化 -中間財分業から最終財分業へ-

No.122 : 東アジア域内分業の変化
-中間財分業から最終財分業へ-

客員研究員 梶原 弘和/上級研究員 荒井 崇

2001年12月

要旨

  1. 東アジア諸国の工業化の進展はこれまで貿易が牽引してきた。この過程において東アジアの域内分業が拡大し、先進国で例外的に製造業品輸入比率が小さかった日本でも東アジアへの依存を急速に高めた。欧米諸国は東アジアの発展は域外への輸出増加によりもたらされてきたと非難してきたが、東アジアの長期的な貿易関係は域内取引拡大へと向かっている。
  2. 東アジアの域内貿易の時系列比較から、域内分業構造の把握を行い、東アジアの域内貿易依存度が上昇していることが確認できた。特に東アジアにおける域内貿易は中間財貿易が主であり、生産過程における分業関係が進展し、電機機械・一般機械においてこの傾向が顕著であった。最終財の輸出先はアメリカ、EUその他市場への依存度がいまだに高いが、一次産品加工品のように域内依存度が高くなってきた財もある。最終財の域外依存が高いのはいまだ東アジアの多くは先進国段階に達しておらず、商品差別化による相互需要から最終財貿易が拡大できるような構造になっていないからである。また自動車や家庭電気製品に代表されるように最終財産業の保護育成が目指されてきたからでもある。
  3. 東アジアの分業にみられるこうした特徴は、97年の経済危機からの回復に大いに貢献した。最終財輸出は域外に依存していることから、まず危機回復は欧米経済の活況から最終財の欧米への輸出増加によって生じた。欧米への最終財輸出増加は、次いで域内生産関係から域内中間財の取引を拡大させた。特にITに代表される資本財中間財は、東アジア域内貿易が拡大し、危機からの回復を支えた。
  4. 東アジアの危機からの回復により、さらに域内における最終財貿易の危機前水準への回帰が待たれる。また東アジアがさらに発展するには最終財の域内貿易の拡大を図る地域的な協力を必要とする。保護手段の撤廃だけでなく、域内の最終財取引を拡大させるには需要側にたった地域的枠組、たとえば安全基準や認証基準の統一等が必要であろう。域内での気運が高まっている地域貿易協定はこうした枠組み形成に大いに貢献するはずであり、将来的に域内最終財取引に資すると考えられる。

本報告書は、平成13年度に財務省から委嘱された『アジア域内における貿易取引の相互関係の実態に関する調査』にかかる報告書を一部加工して本レポートに掲載することについて、財務省の了承を得た上出版するものです。なお、本報告書の原典は、 『アジア域内における貿易取引の相互関係の実態に関する調査』というタイトルで財務省のインターネットのホームページ
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/tyousa/tyou024.htm
において閲覧可能です。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 東アジア域内分業の変化 -中間財分業から最終財分業へ- [153 KB]