No.119 : 環境行動とコーポレートブランドに関する考察
研究員 濱崎 博
2001年11月
要旨
問題意識・背景
昨今の環境に関する法整備の進展、環境問題への人々の関心の高まり及びグリーン調達の普及により、企業の取り組むべき環 境対応が多様化している。しかし、各社が発表している環境会計によると、既に環境に要する費用は、環境対策を行って得られる便益をはるかに凌駕していおり、更なる企業の環境対策は資金的負担を増大させるのみならず、これが企業の環境対応の停滞に繋がりかねない。一方、高知県梼原町森林組合のように、環境に配慮した森林管理に関する森林認証を受け、外材及び他の国内材との差別化を通じて環境対応をブランド化する試みも行われており、企業の環境対策が企業のブランド価値を高め、環境行動のブランド資産化を促す可能性もある。
本研究では、企業の環境行動が購入者に対して評価を受け、商品購入の際の選択要因の一つとなっている、すなわち「環境ブランド化している」かについて現状を明らかとし、より環境ブランド価値を高めるための対策に関して提言を行う。
研究内容
- 企業の環境行動と消費者の環境イメージ
企業の環境行動が正しく一般消費者に伝わっているのか。企業の環境イメージと企業の環境行動の関連性について検討を行う。
- 家電(エアコン、冷蔵庫)、食料品(牛乳)購入時の企業の環境度の影響
家電・食料品購入時に消費者が検討を行う要因に関して明らかとし、企業の環境行動の検討時の影響度について考察を行う。
- 企業の環境行動を環境ブランド化し、ブランド資産を高めるための対策
企業の環境行動をブランド資産化するための対策に関して、(1)個別企業レベルでの取り 組み、(2)政策的対応の両面より提案を行う
結論・提言
結論
- 企業の環境経営に配慮した度合と企業環境イメージには相関があるとは言い難く、トヨタといった環境に優しい製品を発売した企業、コマーシャルで環境保全の必要性を訴えた企業の環境イメージが高い。
- 購入者は、家電購入時に、企業の環境行動のうち「購入者に直接便益のある環境配慮型商品の提供」以外、あまり検討の対象としていない。原因としては、(1)顧客側の環境意識の低さ、(2)顧客への企業の環境行動に関する情報提供の弱さ、(3)企業の環境度の比較検討の困難さ(一般消費者にとって数値的情報を商品購入時に容易に得ることが困難)、(4)商品使用を通じて企業の環境への取組みを評価することの困難さ、(5)全ての企業が同様な環境行動及び情報発信を行っていることが挙げられる。ただし、「購入者に直接便益のある環境配慮型商品の提供」(省エネ能力)は、多くの人が購入時に検討を行っており、(1)省エネが購入者の電力料金の負担軽減に繋がること、(2)省エネ能力に関して比較検討可能な情報を容易に入手可能なこと(店頭、チラシなどで各社の製品の年間電力料金が明示されている)が、その背景にある。
提言
- 企業への提言

- 広く薄く情報を提供するのでなく、商品・サービス購入者に対してより詳細な情報提供(商品自体に商品に含まれている成分、環境への影響、他製品平均との比較情報)を行う必要がある。
- 環境会計、環境報告書、ISO14001取得、環境取組み情報の提供方法(HP、報告書、コマーシャル)は多くの企業で行われており、ブランド価値創造に必要な差別化が行われていない。他の企業が行っていない環境行動の実施、環境情報の提供(顧客の環境行動への参加<リサイクル活動、ごみ削減活動など>)が必要。
- 政府への提言

- 企業の環境行動に対する国民の意識の低さを解消するために、環境教育の充実により環境意識の向上を図る必要がある。
全文はPDFファイルをご参照ください。
PDF 環境行動とコーポレートブランドに関する考察 [183 KB]