No.116 : 日米比較からみた医療改革の政策形成プロセスのあり方
主席研究員 松山 幸弘
2001年10月
要旨
- 本年9月、"聖域なき構造改革"を掲げる小泉政権から漸く「改革工程表」が明らかにされた。しかしながら、国民の関心が最も高い年金、医療、介護といった社会保障制度改革については、既に何年も続いている議論の空転を解消し国民のコンセンサス作りに資するような具体策を依然欠いている。これは、わが国の社会保障制度改革の政策形成プロセスに欠陥があるからである。本稿ではこれを医療改革の政策形成プロセスの日米比較を通じて検証する。
- アメリカでは膨大な医療関連データベースが構築され公開されており、改革案が出るとすぐにカウンターパートや中立シンクタンクから客観的データに基づく評価を受ける。とりわけ、常に中立を守り現職大統領の提案であっても批判する議会予算局の存在が大きい。その結果、改革の枠組みの理念が妥当であることに加え財源確保に合理性のない案は早い段階で棄却される。
- これに対し日本は医療関連データベースが貧弱である。そして厚生労働省や各利益団体が発表する改革案では、試算結果が示されるのみで基礎データと計算プロセスが十分に公開されていない。議論の空転が続くのは、用語の定義やデータの解釈について関係者に共通のインフラを作ることなく進めているからである。これは、厚生労働省に広報戦略がないからである。
- 従って、国民が改革案を比較評価するための共通の尺度を提供すべきである。アメリカのように基本的情報を共有する仕組みを構築すれば財源確保の妥当性が明確になり改革の枠組みの議論に専念できるようになる。その時はじめて改革案並列列挙で結論のでない状況からの脱却が可能になると思われる。
全文はPDFファイルをご参照ください。
PDF 日米比較からみた医療改革の政策形成プロセスのあり方 [72.1 KB]
