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  5. 日本のエレクトロニクス産業の競争力向上に向けて -EMSから何を学ぶか

No.114 : 日本のエレクトロニクス産業の競争力向上に向けて
-EMSから何を学ぶか

主席研究員 安部 忠彦

2001年10月

要旨

  1. 日本の主要産業であるエレクトロニクス産業において、日本は90年代以降急成長するIT製品で、80年代の家電・AV製品のような大きな世界シェアがとれず競争力が低下した。急成長するIT製品における生産形態を見ると、従来日本が基本とした、研究開発から製造、販売までを(事業部が)一体的に行う統合型とは違い、製造業務をアンバンドル(分離)し、それを製造業務に特化した企業にアウトソーシングするという新たな形態(EMS<電子機器の製造受託サービス>やファウンドリー活用型)が主であり、このやり方が他の製品にも拡大している。日本企業が未だ対応しきれていないこのような生産形態への対応を誤れば、日本がこれまで強みを誇った製造面での競争力も弱体化するのではと懸念されている。
  2. 本研究では、今後も世界経済を牽引すると見られるエレクトロニクス産業において、日本企業が競争力を高めるための道筋を、EMSやファウンドリーの検討を基に、特に生産形態面から考察した。そのため、EMSやファウンドリーの実態、増加の要因、その優位性や限界を分析した。また、今後EMS型になる可能性の高い製品の広がりを推定するために、主要エレクトロニクス製品の諸特性と現在の生産形態(事業部一体国内生産、国内マザー工場+海外生産子会社、EMS、ファウンドリー型)との関係について分析した。さらに、国内主要エレクトロニクス各社の今後の生産形態方針を踏まえ、日本が今後向かうべき方向について検討した。
  3. その結果、EMS型の強みは主として量産設計ノウハウの蓄積と思われること、今後もIT製品を中心にアンバンドル化を促す要因は強まること、EMS化する製品はプリント基板実装工程を持つ製品を中心に増加すること、EMSは今後単なる製造工程に特化した受託だけではなく、対応機能が広がり統合的サービスになること、日本企業も自らEMSになるなど対応が活発化していることが判明した。
  4. これを受けて、製品ごとの特性に応じた生産形態の方向性を提案した。特に今後の成長製品であるデジタルAV機器等の分野ではまだEMSが主導権をとってはいないので、日本の有力各社が工場をアンバンドリングするだけでなく、販売/在庫情報や先端生産技術を一体的統合的に獲得・活用する日本型の良さも取り入れるため、有力企業同士のグループ化と提携型EMS構築が重要とした。汎用規格量産型IT製品ではすでに海外EMSの優位性は動かしがたく、これとの棲み分けを狙ったニッチ型EMSに向かうべきこと、このためには日本の工場は技術開発力が弱いので、地域大学等との産学連携を推進する必要があるとした。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 日本のエレクトロニクス産業の競争力向上に向けて -EMSから何を学ぶか [1.69 MB]