主任研究員 武石 礼司
2001年6月
電力大口需要家を対象とした電力自由化が2000年3月より開始され、新規参入者が既存の電力会社から顧客を奪う事例が生じ始めている。落札価格は最大では2割も安くなる例も生じているが、供給量としては未だ全体の1%にも満たない。2003年の自由化の見直しに向けて、再度目的を確認しておく必要が生じている。
電力会社が自然独占性を持った存在であるかを検討するために、電力会社10社の規模の経済性の推計すると、規模の経済性があると認められる会社と、無いとみなされる会社とが存在しており、電力会社内で明らかに差異が生じているとみなすことができる。この差異は、電力需要の伸びに比べて、支出の伸びの抑制がどの程度行われたかによりもたらされたと考えられる。
電力会社間の電力融通量は、新規事業者が託送を行う余地がどの程度残されているかという点から考えた場合には極めて限定的である。融通可能量が限られているために、電力供給区域をまたいで供給エリアを持つガス会社をめぐって競争が生じている例がある。
カリフォルニアで発生した電力危機も、ネットワークとしての電力系統の容量不足が一因であった。託送価格が適正に算出できる理論を用いると、産業内で一定の意味を持ち始めているネットワーク産業(電力・ガス・水道、電気通信、輸送等)における価格算出が容易となる。
電力会社は、現状では競争へ移行する体制が形成できていないが、卸電力市場、および、小売電力市場が出現することで、発電部門、送電部門、配電・小売り部門の3機能に分離せざるを得ない。ただし、ソリューション営業等の多角化は、本業である電力販売部門と比べた場合には、ゆっくりとしか進まざるを得ない。
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PDF 電力産業の将来像 [609 KB]