No.104 : 対中投資戦略・マネジメントの再検討
上級研究員 金 堅敏
2001年5月
要旨
- 中国のWTO加盟に伴う新規投資分野の開放或は拡大、既存投資分野の完全性確保、経営環境の改善は外資企業に大きなインパクトを与える。WTO加盟交渉が終えていないにもかかわらず、中国政府は外資導入や構造改革を図るために、WTOルールと整合するように外資三法や国内法規の改廃を始めている。日系企業は1990年代における中国事業の収益性を低く評価し、欧米企業と比べ中国WTO加盟に対する期待もあまり高くない。
- 1990年代を通じて安定的な拡大を続けている欧米企業の対中投資とは対照的に、日系企業は1990年前半に投資ブームを引き起こしたものの、後半は停滞した。対中投資の潜在力を評価しているにもかかわらず停滞した理由として、法律の急変・不透明な運用、インフラの未整備、代金回収困難等、政策的・物理的な経営環境が悪く期待通りの実績が得られなかったことが上げられる。しかも、近年の調査では、競争が熾烈になり、販売単価の下落が日系企業の経営を苦しめる重要な要素となっている。
- 拡大する国内産業の「外資企業化」や民営企業の台頭により、中国市場は益々国際化され、国内競争はグローバルな国際競争に変身しつつある。にもかかわらず、日系企業の多くがイメージしている中国市場における競争相手は非効率的な国有企業である。WTO加盟により、中国市場参入を目指す日系企業はさらなる競争圧力を受けるであろう。欧米企業との厳しい競争を立ち向かざるを得なくなる。
- 中国市場で欧米企業との競争やローカル企業からのキャッチアップに勝ち抜くためには、日系企業は「閉鎖され、国有企業が主体である中国市場」という先入観を捨て、競争力強化のための対中投資戦略・マネジメントの再検討を早急に行う必要がある。筆者は、(1)最新技術の投入や投入技術の循環的再導入、現地R&D資源の活用やIT投資の強化、(2)産業集積地、消費地へのアクセス、情報収集の難易を立地選択の条件にすること、(3)現地化による企業ガバナンスに対するITの活用、(4)M&Aで既存販売資源の活用及び顧客信用システムの構築や販売にインセンティブ・メカニズムの確立、など日系企業の競争力強化策を提言する。
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