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No.102 : IT革命のミクロとマクロ

富士通総研 経済研究所/日本経済研究センター

2001年4月

要旨

  1. IT革命がもたらすニューエコノミーの本質は、新たな「潤沢性」「希少性」「組み合せ」をいかに獲得し、活用するかにある。IT革命の行方に拓ける「もう一つの情報化社会」は、人々が所得・消費次元から潜在能力を発揮する次元へ移行することを意味する。 IT革命の成否はともかくとして、いまやわれわれはITネットワークに繋がっていることが生き残るための条件となりつつある。
  2. 労働力人口の減少とそれを先取りする形で投資が減少することが、日本経済の低成長を生み出している、と言う見方が定説になっている。その背景には、資本の限界生産性の逓減を前提とした新古典派成長モデルの存在がある。代案として、既存の財・サービスに対する需要の飽和、鈍化によって成長パターンが決まる、という需要サイド重視の成長モデルを提示する。ITには需要創造力があり、これこそが経済成長の重要な駆動力となる。
  3. 今後、ITを活かしながら日本経済を活性化させるには、1.過大な一般資本の整理、2.人材の流動化、そして3.IT資本をフル活用するためのネットワーク化、経営革新や隣接技術分野との融合が不可欠である。
  4. ITアウトソーシングの規定要因について、リアル・オプション理論を援用しながら考察すると、不可逆的な投資や不確実性が見られる時には、資産特殊性だけでなく、歴史(履歴)が重要な役割を果たすことがわかる。
  5. 20年前のITができなくて今のITができる最大のものは、情報発信にかかるコストが極端に小さくなったことである。これによって市場メカニズムそのものも大幅に強化され、断片化、分散した情報に結合する機会を与えることが容易になった。
  6. ITの発達は、1.主体間でリンクを張るコストの削減に寄与する、2.非所有権資産を所有権資産に転換する、という二つの意義を持つ。IT革命と生産性の関係を明らかにするには、情報ネットワークと生産ネットワークの相互関係を解明する必要がある。
  7. これまでの経済発展論からIT革命を位置付けてみる。近代社会を特徴付けてきたアダム・スミスの「市場」、マックス・ウエーバーの「組織(官僚制)」を、IT革命はそのいずれをも変貌させ、いずれにも属さない新たな秩序=ネットワークを発展させつつある。その力を利用することなしには、経済発展も見込めない。近代社会を特徴付けてきた生産と消費の対立図式にも変化が見られる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF IT革命のミクロとマクロ [1.52 MB]