No.77 : ゼロ金利下の政策コミットメント
客員研究員(一橋大学助教授)渡辺 努
2000年4月
要旨
名目短期金利がゼロまで低下している状況では、将来の短期金利に関する人々の予想値を低下させることにより足元の長期金利を低下させるのが最適な金融政策である。これは、いわば予想チャネルを通じた金融緩和であり、ゼロ金利の下でも有効な金融緩和手段のひとつである。これを実現するには、中央銀行は、「物価上昇率がゼロに達した後もしばらくの間はゼロ金利政策を続ける」とのメッセージをクレディブルなかたちで市場にアナウンスする必要がある。これとの対比では、「デフレ懸念の払拭が展望できるまでゼロ金利政策を継続する」という99年4月以降の日本銀行のコミットメントは、金融緩和のための予想チャネルを十分に活用しておらず、不適切である。金融緩和が不十分であったために景気回復が遅れた可能性がある。また、このコミットメントは、ゼロ金利政策解除後の短期金利の経路と整合的でないという難点がある。
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