No.43 : 中国は経済危機を回避できるのか
主任研究員 柯 隆
1999年2月
要旨
- 内需拡大はマクロ経済成長のカギを握っている。そのために、 政府財政部は国債増発し、公共投資を前倒しして実施している。 また、金融緩和政策として金利の引下げも実施されている。一方、 経済構造を調整するために、国有企業改革が本格化している。 国有企業のリストラとダウンサイジングで、大量の労働者がレイオフされ、 社会不安要因になっている。国有企業改革を継続させるために、 労働集約型のサービス産業を振興する必要がある。
- 金融改革は節目を迎えている。 貸出ポートフォリオの改善できない金融機関を整しなければならないが、 その処理過程で外銀による資金引き上げで、 金融システムが混乱に陥るリスクもはらんでいる。 また、国有商業銀行の不良債権は、査定中といわれているが、 大きく膨らんでいるのが明白である。金融改革は、難題が多いが、 市場メカニズムに基づいてスピーディに行われなければならない。
- 人民元相場の維持はアジア経済回復への寄与が大きいが、長期化すれば、 輸出が低迷し、内外価格構造の歪みをもたらす。とはいえ、 98年に切下げを実施すればよかったが、そのタイミングを逃した。 99年の政治日程から、社会情勢の安定を維持するのは最重要課題である。 今後、元レートを切下げないままの輸出振興策は注目される。
- 中国経済が直面している不確実性は多いが、改革・開放以降、 蓄積されている底力から、99年大きな政策的誤りさえなければ、 高成長に回帰 する可能性こそ低いものの中成長を続けることができると思われる。 中成長シナリオの実現をめざしつつも、 国有企業改革と金融改革を減速せずに実行すべきである。
