No.39 : アジアの華人企業グループ-その発展、経営の特徴
通貨危機の影響と今後の展望
主任研究員 朱 炎
1998年12月
要旨
- アジアの華人企業グループはアジア経済の発展に伴って形成し、 所在国の経済成長や構造転換、 政府の経済政策及び対華人政策の変化などを背景に大きく発展してきた。 現在、アジアのほとんどの国では、 華人企業グループは大きなプレゼンスと強い経済力を持っている。
- 華人企業グループの発展は、その独特な経営特徴と関連する。 この特徴を (1)経営分野の多角化、 (2)家族中心の企業組織構造、 (3)買収・合併と資本市場の利用、 (4)「華人ネットワーク」の利用、 (5)政治権力への接近と外資利用、 (6)対外投資と多国籍化、 などの面から検討できる。
- 大きく発展した華人企業グループは、アジアの経済発展のみならず、 産業構造の高度化、域内経済協力にも貢献している。ただし、 アジアの華人企業グループは未熟な経済環境のなかで発展してきたため、 強みを持つ一方、弱点もある。
- アジアの通貨危機は、華人企業グループに大きな打撃を与えた。 債務返済の負担増か、業績の悪化のなか、 華人企業グループは事業・子会社の売却、外資の導入で増資、 中核事業を軸とする傘下企業の再編、海外事業の売却で本国への回帰など、 素早く対応策をとっている。 また、一部のグループは、通貨危機をチャンスに利用し、 事業の拡大を図っている。 通貨危機を通じて、華人企業グループは、自己資金の重視、 リスクヘッジの重視、経営の近代化、産業構造と地域分布の合理化など、 今後の発展に生かせるさまざまな教訓を得ることができる。 通貨危機による困難を乗り越えれば、華人企業グループは今後も発展できる。
