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No.34 : 情報化の進展と米国大都市圏

主任研究員 湯川 抗

1998年6月

要旨

  1. 急速に進む情報化は、 時間や距離の制約をなくすことによって都市や地域の姿を一変させる 可能性があることが多くの学者によって語られている。 本研究では、世界のなかでも情報化技術や情報ネットワークが 進んでいると言われている米国において、 代表的な大都市圏が実際にどのように変わってきているのかを いくつかの観点から分析した。
  2. 第一に、大都市圏全体において人や企業の集中や分散といった変化が 情報化の進展とどのような関係にあるのかということをデータから分析した。 その結果、情報化が進展すると共に、居住地や就業地、 企業立地の郊外化も進展しており、 両者には強い相関関係があることがわかる。 しかし米国の大都市圏における郊外化は第二次大戦以降、 一貫した傾向であり、 このような人や企業の分散化が情報化の進展に起因するものであることや、 分散化が情報化の進展によって加速されたという因果関係を示すことは 現段階では困難である。どの大都市圏においても交通網の発達や立地コスト、 アメニティ充実の相違、各種政策など、 情報化以外の要因の影響がより大きなものであると考えられる。
  3. 第二に、人や企業の行動に注目して、 テレコミューティングやITSといった情報技術の進展によって住み方、 働き方、移動方法がどのように変わりつつあるのかを、 いくつかのケースを基に分析した。こうした情報技術が今後更に普及すれば、 都市の形態を変化させる可能性がある。 しかし、これら情報技術のアプリケーションは、 各都市固有の問題を解決する手段としてその活用が進められており、 大都市圏全体に与える影響の方向性は地域によって異なってくる。
  4. 第三に、都市開発は情報化の進展によって どのように変わりつつあるのかということを、 実際に行われた都市開発のケースを基に分析した。 今後、情報技術の進展を利用した新たな都市開発を行えば、 それまで中心部に立地していた企業を、郊外や衰退地域に誘致したり、 情報産業を集積させるなどして都市を変化させる可能性がある。
  5. 米国においては、大都市圏単位で見ると、 情報化の進展による大きな変化は現段階では起こっていない。 漫然とコンピュータや光ファイバー、 インターネットのホームページなどが普及していけば 都市や地域が変化すると考えるのではなく、 その地域に根ざした問題が先にあり、 その問題解決のための手段としての情報技術の適用が都市や地域に 影響を与えていくといったように考えるべきであろう。