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富士通総研

Japan

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No.31 : アジア経済:回復へのシナリオ

FRI経済研究所

1998年5月

要旨

  1. 昨年7月以降、アジア諸国は通貨危機に見舞われ、通貨の下落により、 金融システムが混乱し、実体経済も深刻な不況に陥った。 ただし、通貨危機から受けたダメージは国によって違い、重態組、 重傷組及び軽傷組という3つのグループに分けられる。
  2. アジア諸国経済の通貨危機からの回復は、3段階のプロセスが必要となる。 第1段階は、危機から安定への段階であり、1年もしくは1年半の時間をかけて、 金融システムの安定を回復させる。第2段階は、低迷から回復への段階であり、 約1年半か2年の時期に、輸出主導で内需を回復させる。第3段階は、 さらに2年間で、内需拡大で本格的な経済回復を達成させる。 通貨危機発生5年後には、経済が成長の軌道に復帰できる。
  3. 第1段階である金融システムの安定回復は、最も重要なステップである。 金融市場が安定しない限り、生産、輸出入、消費、 投資などの正常な経済活動もできない。金融システムの回復は、 (1)IMFによる資金支援の受け入れ、引締め政策の実施、 (2)経常収支の改善、 (3)対外債務のリスケジューリング、 (4)金融機関の機能回復、 (5)外部条件として中国人民元の切り下げ回避、 などの政策措置あるいは条件が必要となる。 現段階では、為替、株価、金利の動きから判断すれば、 安定に向かいつつあるが、本格的な安定回復にはなお時間かかる。
  4. 金融システムの安定回復が達成した後、経済の本格的な回復は、 輸出主導で展開されると考えられる。 通貨の下落により価格競争力が強化され、輸出の大幅な拡大が期待できる。 先進国とアジア域内諸国は、需要アブソーバーの役割を引き続き担える。 輸出の拡大は第1のエンジンとして、国内需要を喚起し、生産、消費、 投資を回復させる。
  5. しかし、通貨の下落による輸出ドライブの効果は一時的なものであるため、 内需を拡大させる第2のエンジンを点火する必要がある。 内需の拡大は、景気刺激策の実施、設備投資の回復と拡大、 消費の回復と拡大、などによって実現される。内需拡大により、 経済成長率の危機前の水準に回復する。 ただし、持続的な経済成長を維持するために、 さまざまな構造改革が必要となる。