No.28 : 労働生産性に及ぼす技術進歩の影響
FRI・日本経済研究センター共同研究
1998年3月
要旨
- 21世紀にはいっても日本が経済成長を続けることは、 労働生産性を高めることと同義であるが、 それには技術進歩率を高めることが必要、不可欠である。
- 経済成長に伴ない人間の価値(労働生産性)が高まり、 資本価値(資本生産性)が相対的に低くなるのが 先進国に共通した現象であるが、 国際競争力の強い産業ほど資本生産性の低下幅が相対的に緩やかである。 その最大の要因は、活発な研究開発投資による技術進歩率の高さにある。
- 資本投資額の計測には多くの難点がある。 資本サービスの購入である資本設備の賃貸(リース、レンタル)額で 資本ストックを修正しても、上記の結論は変わらない。 ただし、資本の生産性の低下幅は、 賃貸額による修正前より大幅なものとなる。
- 技術進歩率は、研究開発投資額が多い業種ほど高いという正の関係にあるが、 決定的といえるほど強い関係ではない。 技術進歩に影響する要因があまりに多岐にわたるためである。
- 技術進歩の純粋な一形態であるイノベーション(技術革新)の源泉自体が、 ユーザー、メーカー、サプライヤーの各業種機能の内で行われている。 業種、技術分野によって、その分布は異なるが、共通していることは、 技術進歩には供給者間、利用者間、さらに供給者、利用者間の一種の "研究の集積効果"が不可決である。
- 研究開発投資をすれば必ず技術進歩が生ずるとは限らないが、 技術進歩には研究開発投資は欠かせない。 つまり、研究開発投資は、技術進歩の十分条件ではないが、 必要条件である。
