富士通総研

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No.25 : 日本企業における情報技術と組織アーキテクチャ

研究員 浜屋 敏

1998年3月

要旨

  1. 電子メールやグループウェアなどの情報技術(IT) が企業組織に与える影響については、さまざまな議論がある。たとえば、 「電子メールが組織をフラットにする」というようなことも言われている。 しかし、「ITが組織に対してどのような影響を与えるのか」 という問題を論ずることが重要なのではない。 「目指すべき企業組織を実現するために情報技術が有効に使われているか」、 換言すれば、「企業組織の方向性と情報技術導入の方向性が合致しているか」 ということが、経営改革の成功の鍵を握っている。
  2. リエンジニアリングなどの経営改革に成功したアメリカ企業の多くは、 積極的にIT投資を行なうと同時に、 チームワーク重視などの新しい「組織アーキテクチャ」を採用し、 その相乗効果によって企業活動の生産性を高めることに 成功したと言われている。 そのことは、最近の研究によって定量的にも裏付けられつつある。
  3. 低成長経済への移行や国際競争の激化といった経営環境の変化によって、 年功序列などの「日本的雇用」に代表される日本企業の組織アーキテクチャ は、変更を余儀なくされている。 日本企業の組織アーキテクチャとITとの関係を明らかにするために、 アメリカで行なわた研究と同じアプローチでデータを収集し、分析した。 その結果、仕事の裁量度の大きさなどとITの間には相関はみつかったが、 ITの導入にともなう業務の高度化に予算や給与など制度的な面が 追いついていないことも判明した。
  4. ケーススタディで取り上げる富士通のように、 成果主義や年俸制の導入といった人事制度改革と 新しいITの導入とを意識的に同時に進めている日本企業も存在する。 日本企業の生産性を高めるためには、ITへの積極的な投資と同時に、 アメリカ企業の成功にも学びながら、 ITを活用して新しい組織アーキテクチャを採用することが必要である。