No.22 : 華人企業ネットワークの新展開
主任研究員 朱 炎
1998年1月
要旨
- 90年代に入ってから、東アジア諸国において、華人企業は大きく発展し、 その経済力がさらに強くなった。 華人大企業グループは企業グループの上位をほとんど独占している。 華人企業の発展により、華人企業家も莫大な資産を蓄積した。
- 90年代の大発展の原因として、産業構造、資金調達、組織構造などの面で、 環境の変化に対応して、華人企業の経営も大きく変わったことである。 また、東アジア、特に中国に対外投資を積極的に行った。 その結果、華人企業の多角化、多国籍化が促進された。 さらに、人的つながりに基づき形成された華人企業ネットワークは、 さまざまな面で機能が強化され、華人企業の情報交換、 共同事業に利用されている。
- 華人企業とそのネットワークは、 情報交換や信用第一による取引コストが安い、多業種 、多地域に展開するためリスクを回避しやすい、 家族経営の組織構造による決断が早い、などの強みを持っている。 しかし一方では、家族経営から生じた人材登用と情報開示が遅れる、 伝統産業に集中することから生じた技術の蓄積と開発力が欠ける、 華人という民族性から生じた社会と政策面で制約を受ける、 などの限界もある。今後、華人企業はさらに発展し、 世界の大企業として大量に登場してくると予測できる。華人企業ネットワークはさらにオープンになるであろう。 ちなみに、アジアの通貨危機は、華人企業にマイナス影響を与えると同時に、 今後のさらなる発展のチャンスももたらした。
- 東アジアにおいて、日本企業は華人企業との間に、 日系企業の現地生産への協力、大型プロジェクトへの共同参加、 共同での対外投資、などの形で協力関係が構築されている。 近年、華人企業は日本にも上陸し、企業買収、資金調達、日本での現地生産、 不動産開発などの形で展開している。 今後、東アジアに進出する日本企業は華人企業との協力関係をさらに 強化しなければならない。また、日本経済の活性化を図るために、 日本は華人企業の投資を積極的に導入し、 華人ネットワークを利用すべきである。
