No.7 : 新しい雇用システムの展望
研究員 大石 邦弘
1997年4月
要旨
- 1990年以降、労働供給は日本経済の成長にマイナスの寄与を与えている。 21世紀に向けて成長を支える鍵は、労働生産性の向上とともに、 この労働供給のあり方を変化させることにある。 生産年齢人口の減少、高齢化の加速が予想されるなかで、 労働力の供給自体を変化させねばならない。 そこでは、高年齢労働力や女子労働力の有効活用が不可欠となる。
- 労働供給面での対応とともに、労働力の需要側である企業においても、 現在構造変化が進行中である。 技術革新のテンポが加速するにともない、 必要な人材を内部で調達するのではなく、 外部労働市場から調達する動きが活発化している。 また、情報通信技術の発達は企業と企業との結びつきを変化させつつある。
アウトソーシングの活発化は、その一例である。 また例えば、外国人労働力は日本に移動するのではなく、 海外にいたままインターネット上でプロジェクトに参画していくことも 可能になった。
- このような雇用の基盤の変化にともなって、 企業と人との結びつきである雇用システムにも変化が起き始めている。 それは、クローズ型雇用からオープン型雇用への雇用形態の変化、 企業内教育から自己投資への人材教育の変化、 年功中心から能力・業績中心への給与システムの変化としてである。 このような新しい雇用システムは、「動く、高める、報われる」の 3つの観点から捉えることができよう。
- 新しい雇用システムへ円滑に移行していくためにも、 それをを支える環境整備が必要となる。 一企業内あるいは産業内での雇用確保や長期雇用を目標とした 現行の諸施策は改め、雇用の流動化を積極的に推進し、 労働力の再配置を達成することにより、 経済全体での雇用確保を目指さなければならない。
そのために例えば、リファレンス制度、インターンシップ、男女の均等化、 雇用調整助成金の廃止、年金のポータブル化、退職金の年俸組み入れ、 育児システムの充実、人材派遣業の自由化等が 政策提言として指摘できよう。