No.18 : 東アジアにおける進出日系企業の資金調達
主任研究員 村上 美智子
1997年10月
要旨
- 東アジアでは、日系企業の事業活動の深化伴い、 90年代に入ると現地法人による現地における借入や 内部留保などを原資とする再投資が活発に行われるようになってきたが、 95年度には、一転して設備投資資金の日本側本社引受額が著増した。 原則的には調達主体の現地化を指向しているとみられるものの、 資金のアベイラビリティーや調達コストによって変動も大きい。
- 近年、東アジアでは、安定的な高収益を背景にかなりの規模で 再投資が行われるようになっている。 また、投資資金の現地法人による外部からの調達も拡大しつつあるが、 依然として長期資金の調達手段はオフショア・ローンなどに限定されている。
- 一般に途上国の株式市場は投機性が高いが、 東アジアでは市場整備の進展に伴い、近年、ようやく、 長期安定的な資金の運用・調達市場として機能するようになってきた。 しかしながら、債券市場は依然として未発達であり、 とりわけ社債市場の整備遅延が顕著となっている。
- 今回のタイ通貨危機およびそれに端を発したASEAN各国通貨の急落は、 日系企業に域内分業体制の再構築を迫っている。 東アジアの長期資金市場の発展には今しばらく時間がかかると みられることもあり、 事業活動の現地化をさらに進める上で利益再投資を促すべく、 域内統括拠点の持株機能の強化が検討されるべきであろう。
