No.16 : 日本の公共工事システムの改革
主任研究員 米山 秀隆
1997年9月
要旨
- 財政赤字が深刻化するなか、 公共工事の高コスト構造に対する批判が高まっている。 本稿は、公共工事の高コスト構造の実態を、 官民価格差の側面から明らかにするとともに、 公共工事システムの改革のあり方を論じようとするものである。
- 公共建築物と民間建築物の工事費単価を比較すると、 最近になって両者の格差が拡大している。 民間建築物、公共建築物の単価とも80年代末から急上昇したが、 公共建築物の単価はその後の下落幅が民間建築物に比べて小さく、 下方硬直的となっている。
- 公共工事の入札にあたっては業者間で談合が行われ、 あらかじめ決められた予定価格に近い水準で落札される場合が少なくない。 価格算出の前提となる積算単価、 諸経費率が市場価格の変化に対して硬直的になっており、 この点が最近の官民価格差拡大の要因になっていると考えられる。
- アメリカの工事システムをみると、入札・契約の過程が透明化されており、 業者間の適正な価格競争が行われている。 公共工事の予算枠は、あらかじめ公表されているが、 入札による価格付けはそれとは別と考えられており、 落札価格は市場動向によって予算枠を上回ることも下回ることもある。
- 日本において適正な価格競争が行われるためには、 予定価格制度と積算基準を撤廃する必要がある。 同時に、公共工事の企画・立案、 入札・契約の過程を透明化することが重要である。 また、業者間の価格を比較しやすいように、 公共の積算にあたってのコスト構成の標準化を進めることが望まれる。
