自治体マネジメントシステムに関するアンケート調査
発刊日 : 2006年9月
株式会社富士通総研 公共コンサルティング事業部
調査の目的
現在、日本全体が人口減少時代を迎えた中、国及び地方公共団体における危機的な財政状況や、いわゆる三位一体改革の影響から、地方公共団体における行財政運営は、一層、厳しい環境におかれています。弊社では、今後の自治体マネジメントの在り方を自主研究していますが、その一環として、各地方公共団体で取り組まれているマネジメントの状況を調査・分析することを目的に、全国の地方公共団体を対象としたアンケート調査を実施いたしました。
調査の実施概要
| 1 | 調査時期 | 平成18年3月 |
| 2 | 調査方法 | 郵送配布、郵送回収 |
| 3 | 調査対象 | 全国の都道府県、政令指定都市、一般市、特別区(平成18年3月6日時点) |
| 4 | 調査配布数 | 837件(都道府県47、政令指定都市14、一般市753、特別区23) |
| 5 | 有効回答数 | 362件(有効回答率43.2%) |
調査結果の概要
自治体マネジメントシステムの現状をみると、まず予算編成については、経常的経費を中心に約4割の自治体で枠配分方式が導入されています。次に行政評価については、事務事業レベルを中心に導入が進んでおり、事務事業の廃止・見直しやコスト削減を中心とした成果が得られています。しかし、行政評価が当初の期待通りの成果をあげている自治体は2割弱にとどまり、成果向上のための制度の見直しが必要な状況となっています。このため、総合計画・行政評価・予算編成の連携を強化することで、効果的な自治体マネジメントシステムを確立することが重要と言えます。
そして人事制度については、一部自治体で目標管理制度など新たな人事制度が導入されていますが、その成果は限定的となっています。このため、人事制度を改革する上で最大の課題とされた「職員の意識変革」と「長年の慣例・習慣の改革」を進める必要があります。
予算編成のあり方は改革の途上
- 個別事務事業の予算要求査定を全経費に導入する自治体は約7割、枠配分を行っている自治体は約4割です(枠配分の対象は、全経費が17%、経常的経費が23%、政策的経費が1%)(問1)
- 中期的な財政見通しと連動した予算編成を導入する自治体は約5割(連動の対象は、全経費対象が32%、経常的経費が3%、政策的経費が17%)、経費削減の一部を別予算に活用できる制度や、翌年度に繰り越せる制度を導入する自治体は1割以下です。(問1)
- 予算編成に枠配分を導入する自治体のうち、枠配分の対象を「各部門」とする自治体が約7割、「各課」が約2割、「部門を越えて施策ごと」や「施策枠と部門枠の両方」は1割以下で、大半は組織別の枠配分を行っています。(問2)
行政評価は事務事業レベルで最も導入が進んでいますが、成果は不十分
- 行政評価は、事務事業レベルで最も普及しており、導入済・試行段階の団体は約6割です。一方、政策レベルの導入済・試行段階の団体は約1割、施策レベルでは約2割です。(問4)
- 行政評価を導入・試行した自治体のうち、その導入成果をみると、施策レベルでは「効率的な行政運営によるコスト削減」が約1割と最も高いのですが、明確な成果がないのが現状です。事務事業レベルでは「評価結果に基づく事務事業の廃止・見直し」が約4割、「効率的な行政運営によるコスト削減」が約3割です。(問5)
- 行政評価制度が当初の期待通りの成果を生んでいないと考える自治体は約7割あり、その理由をみると、「段階的な導入の途中段階」である自治体を除き、「一般職員の理解不足・抵抗」が約5割、「企画部門・財政部門・行政改革部門の連携不足」が約4割、「管理職員の理解不足・抵抗」が約4割となっています。(問8)
総合計画・行政評価・予算編成は十分連携せず
- 実施計画の見直しを反映した予算編成を行う自治体が約5割、実施計画に位置づけられている事務事業を予算化する自治体が約5割みられる一方、総合計画の政策・施策・事務事業体系と予算編成単位を揃えている自治体は約2割です。(問3)
- 行政評価の結果を活用して「事務事業の優先度の見直し」や「実施計画の見直し」、「施策の優先度の見直し」を行う自治体はそれぞれ1~2割です。(問6)
- 各課予算要求が行政評価の結果に反しないか事業別に確認する自治体が約3割みられる一方、行政評価結果を活用した「施策別総枠配分」・「部門別総枠配分」を行う自治体や、「評価結果と各課の予算要求の判断基準と明確な関係がある」自治体は、それぞれ1割以下となっています。(問7)
人事計画の策定や新たな人事制度の導入が進んでいる一方、成果は限定的
- 人事に関する新たな制度やしくみとして、「自己啓発の支援」や「異動先希望の自己申告制度」がそれぞれ約5割と最も普及しています。しかし、「キャリアモデルの提示」や「多面評価制度」、「コンピテンシー(成果・パフォーマンスにつながる心理的・行動的な特性)を用いた評価制度」、「飛び級制度」を導入している自治体は1割未満、「目標管理制度」や「自己評価制度」を導入している自治体は約2割など、新たな制度等の導入が遅れています。(問9)
- 人事制度の成果として、「総人員の削減」、「総人件費の削減」を挙げる自治体が約3割あります。「職員の適正なキャリア形成」や「業務量の平準化」、「適材適所の人員配置」に対する成果を得られた自治体は1割以下です。(問10)
- 人事に関する方針・指針や計画等を策定している自治体は、「人材育成」に関して約5割、「採用」に関して約4割、「評価」や「異動」に関して約3割、「昇任・昇格」に関して約2割です。(問14)
- 人事計画を策定した成果として、「求める人材の採用」や「適切な昇任・昇格」、「精度の高い定数管理」、「適材適所の異動・配置」を挙げる自治体がそれぞれ2割となっています。「精度の高い評価」や、職員の「生産性向上」、「能力向上」、「士気向上」は1割以下です。(問15)
- 人事評価の結果を「昇任・昇格」や「異動」に全部反映する自治体が約1割、一部反映する自治体が約4割、まったく反映しない自治体は約2割です。(問11)
人事制度の改革は、意識の変革が重要な課題
- 人事制度によって解決しなければならない問題点は、「職員の意識変革」が約7割、「職員の能力向上」が約5割です。(問16)
- 人事制度改革上の課題は、一般職員や管理職の「意識や改革の必要性に対する認識不足」、「長年の慣習や習慣」を挙げる自治体が約6~7割と高くなっています。(問17)
調査問い合わせ先
株式会社富士通総研 公共コンサルティング事業部
担当 関谷、瀧口、藤原、佐々木
電話 03-5401-8326
Eメール sekiya.miyuki@jp.fujitsu.com
関連コンテンツ
PDF 単純集計 [206 KB]
PDF 団体種類別クロス集計 [248 KB]
PDF 調査票 [284 KB]
