~人物検索~
ある日の依頼
人物検索とは、特定個人のプロフィールや著書論文などを調べることを指し、新規取引や顧客へのアプローチする際の事前情報として利用されることが多い。人物検索は、調べる対象が明確で、なおかつ人事情報専用のDBで該当する人物のプロフィールが掲載されているかどうか調べる作業なのでサーチャー業務としては初歩に属する。
しばらく前にある人物について調べて欲しいという依頼を受けことがあった。人物検索は、断片的にしか情報を持ち得ない未知の人物に対する調査ではあるが、通常は調べようとする人物の姓名や属している組織くらいはわかっていることが多い。逆にそれぐらいはわからないと調べられない。だが、この時の依頼はちょっと違っていた。
名無しのゴンベ
呼ばれて依頼主のところへいってみると「名前はわからないんだけど、去年くらいまで役所にいて、今年くらいに大手銀行の役員になったという人について調べてくれる?」という依頼だった。「へっ?」と思わず首を突き出し目を丸くした。人物検索のポイントとになる具体的なキーワードがない。そこで、こちらからキーを探り当てるべく尋ねてみた。「あ、あの、苗字とか、名前とかどちらかだけでもわかりますか?」。すると、「う~ん、それがわからないんだよね。なんだか優秀な人らしいんだけど、そういう人がいるって人から聞いた話だから。」という返事。どうもほんとにそれ以上の情報が手元にないらしい。取り敢えず「わかるかどうか定かではありませんが調べてみます。」といってその場を離れた。
検索ストーリー
引き受けたのはいいけれど、糸口をどこに見つけるかで頭をひねってしまった。役所から銀行の役員ということは、銀行の監督省庁から銀行に出たと考えるのが自然である。年、もしくは年度をまたがって異動しているようだから、どこかの大手銀行で前年にいなくて翌年に籍を置き、さらに役所出身で現在役員の人を探すという検索ストリーを考えた。このような場合、商用DBを使う前にまず実名情報をどこからか拾ってくる必要がある。幸い会社にはレファレンスブックとして全国銀行職員録や職員録(中央官庁・特殊法人等)などがあった。これら二つを見比べつつ見事に地味な作業をしばらく続けやっとおぼしき人をピックアップし、最終的に人物検索DBの日経WHO'S WHO(テレコン21)、中央省庁人事情報、WebWHO(いずれもG-Search)などでを絞り込んでいった。そして最後に該当者と思われる一人の人物が残った。
検索に王道なし
数日後、それとおぼしき人物のプロフィールと著書論文情報を持って依頼者の元を訪れ結果を手渡した。すると依頼者いわく「あぁ、おそらくこの人だと思う。でも、よくわかったね。どうしてわかったの?」との弁。プロセスを説明する気力もなく「はぁ、まぁ、なんとか…。」と曖昧な返事だけを返した。そして依頼者の明るく屈託のない「ありがとう。また、よろしく頼むね。」という言葉を背中に受けながらその場を去った。なぞなぞのような調べ事がサーチャーのスキルアップに貢献していることを実感した瞬間だった。
