調整期に入る中国経済
主席研究員 朱 炎
2009年4月
目次
1. はじめに
2. 経済過熱とインフレの高まり
2.1. 高成長と景気循環
2.2. 外需、投資に依存する成長パターン
2.3. 投資過熱と資産バブル
2.4. 外貨流入と過剰流動性
2.5. インフレとその原因
3. 引き締め政策の実施と効果
3.1. 引き締め政策の狙い
3.2. 引き締めの実施
3.3. 引き締めの効果
4. 引き締め政策のオーバーキルと政策転換
4.1. 引き締めがもたらしたマイナス影響
4.2. マクロ経済政策の転換
4.3. 金融緩和と景気刺激策の実施
5. 始まる中国経済の調整
5.1. 企業の経営困難
5.2. 構造調整の影響
5.3. 米国の金融危機の影響
5.4. 依然として堅調な消費
5.5. 経済の調整はいつまで続くか
要旨
米国発の金融危機、世界的な不況のなか、中国は経済成長を続けるのかが注目される。
中国経済は2桁成長が5年間も続いた結果、2007年から景気過熱、流動性過剰が生じ、資産価格の急騰、消費者物価の高騰などの問題が生じた。
景気過熱、インフレ高騰を抑えるため、中国政府は2007年半ばから引き締め政策を実施した。金融引き締め、特に融資の総量規制が主な手段であり、株式市場と不動産市場の高騰を抑え、輸出抑制などの措置も実施された。2008年に入ってから、成長の減速、物価の安定などの効果が表れた。
しかし、引き締め政策の実施により、経済にさまざまなマイナス影響をもたらした。資産市場では下げ止まらず、輸出の伸びも減速した。中国政府は2008年7月から安定成長を維持するため、マクロ政策を修正し、米国で金融危機が発生後、追加的な緩和策も実施した。
中国経済の調整は既に始まっている。引き締めがもたらした問題のほか、企業経営の困難、経済の構造調整の影響、そして米国発の金融危機の影響などにより、中国経済の減速が避けられない。ただし、消費は依然として堅調に伸びている。財政・金融などの内需拡大のための景気刺激策の実施により、経済成長率は8%を下回ることを回避できるであろう。この調整は1~2年間続くと考えられる。
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