インドにおける研究開発戦略のあり方
主席研究員 金 堅敏
2009年1月
目次
1. 問題の提起
2. R&Dの国際化:日本企業のスタンス
2.1. 世界の潮流となったR&Dの国際化
2.2. グローバルなR&D拠点となりつつあるインド
2.3. 少ない日本企業の対インドR&D展開
3. ケース・スタディ
3.1. 日系企業の事例
3.2. 米系企業の事例
4. 日本企業への示唆
4.1. R&D活動のグローバル展開の評価について
4.2. 日本企業への示唆
要旨
これまで多国籍企業は、グローバル市場戦略や生産のグローバル最適配置について推し進めてきた。80年代後半以降のグローバリズムの加速やITの普及によりR&Dの国際化も加速されるようになった。生産の海外展開と違ってR&Dの海外展開の場は専ら先進国であったが、近年に至っては、中国やインドのような新興国にも大規模に展開されるようになった。市場の潜在性や人材プールの大きさから欧米企業ではインドをグローバルなイノベーション拠点として活用するようになったが、日本企業の対インドR&D展開は少ない。
筆者は、スズキをはじめインドで活動している日系企業4社への文献サーベイや現地ヒアリング調査を行った。インドで展開されている日系企業では、現地化のためのR&D展開、「Local for local」のR&D戦略、市場密着で現場重視のR&D活動といった特徴が見られた。他方、文献サーベイや現地調査を通じた米系企業(GEとIBM)の特徴は、R&Dを起点とする市場戦略、R&Dのネットワーク戦略あるいは「Local for global」のR&D戦略、欧米並みのマネジメント体制での基礎研究の展開などが挙げられる。
R&D活動のパフォーマンス評価尺度である質、コスト、時間を念頭に、インドで活動している日系企業と米系企業に対するケーススタディを通じて、日本企業に現地化を中心とした漸進的なアプローチとR&Dを起点としたビジネスアプローチを内容とする「戦略ミックスモデル」の採用、それに伴う制度によるガバナンス体制の確立、そしてインドのグローバルナレッジセンター化に注目し、これを活用するといった示唆が提起される。
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