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台頭する新興国企業:2008「Fortune Global 500」を読む

主席研究員 金 堅敏

2009年1月

米国に端を発した金融危機は世界経済に大きな衝撃を与えている。「百年に一度の金融危機」を克服するために米ワシントンでG20サミットが開催された。G20サミットで最も印象付けられたのがBRICsなど新興国の台頭であろう。実際、ミクロレベルでは新興国企業の台頭も堅調になっている。2008年7月9日に発表された「Fortune Global 500」ランキングでは、日米などの先進国企業のプレゼンスが大きく後退し、中国、インドなどの新興国企業の台頭が目立っている。

大きく後退した米国企業

米国『フォーチュン』誌は、毎年世界企業の売上高に基づく「Fortune Global 500」というランキングを発表しており、2007年の実績に基づく結果が2008年7月9日に公表された。地域別では、北米、欧州、アジアからはそれぞれ172社、184社、124社がランクインした。全体として中国企業の台頭が引き続き見られるが、米系企業の衰退がより鮮明となった。

図表が示すように、直近4年間でのランクインした主要国別企業数を見ると、2007年に米国企業は9社も減った。近年で減少企業数がもっとも多かった。米サブプライムローン問題や原油急騰は米企業の業績に大きな影響を与えており、GM、フォードなどの自動車メーカー、シティなどの金融・住宅ローン、コカコーラなどの大手企業の順位は軒並後退した。アパレル大手のGapとナイキ等はランキングからこぼれ落ちた。このサブプライムローン問題は金融危機に発展しており、更に経済危機へ発展する様態を見せているので、米企業のプレゼンス低下はより深刻になると考えられる。

図表・・・【PDF参照】

また、日本企業では、トヨタが前回の6位から5位に上がり、ソフトバンク、農林中金、商船三井、いすゞ自動車の4社は新たにランクインした。ただし、大部分の企業順位は後退し、野村ホールディング、日本郵政、損保ジャパン、鹿島、大成建設、日本通運、住友化学の7社はランキングから脱落した。

欧州企業は概ね安定振りを見せた。ドイツ、英国(34社ランクイン)、イタリア(同10社)は変わらなかったが、フランス(同39社)とスイス(同14社)は1社ずつ増えた。スペイン(同11社)は2社も増えたが、オランダ(同13社)は日本と同様3社も減った。ただし、欧州企業については、評価時点でユーロ高になっておりドルベースの評価で売上高が割高になることも見逃せない。金融危機の影響で欧州経済はアジアや新興国などと比べより深刻な状態になっており、プレゼンスが低下していくと推測される。

前進し続けている中国企業

日米企業の後退とは対象的に新興国の企業数は軒並み増えてきている。特に中国企業は毎年4社ほど増えており、その増加数が際立っている。2007年は5社も増え29社(うち香港系3社を含む)となった。企業総数は多くないが、伸びは世界でトップだった。また、中国石油は1ランク後退して24位になったが、その他の企業順位はすべて大きく上がった。はじめてランクインしたレノボ集団(PCメーカー)を除き、中国大陸企業25社はすべて大型国有企業であり、国務院国有資産管理監督委員会所管のいわゆる「中央企業」が19社(エネルギー、金融、原材料、交通運輸、通信、自動車など)、大手国有金融機関5社、地方政府所管自動車企業1社である。数多くの中国企業は、「Fortune Global 500」ランクインを目指しており、国有企業の大型化再編も加速されており、これから数年間は毎年4社前後の中国企業が新しくランクインするだろう。

中国と比べ、同じBRICsである他の3メンバーは微増か現状維持に止まった。メンバーであるインドは1社増え、7社となった。中国企業と違い、2社の国有企業を除き、残り5社は私有企業である。ただし、100位以内に入る企業では、中国企業は3社あるが、インド企業はなかった。ロシア企業も1社増え5社となった。ロシアの最大企業であるガスプロンは52位から47位に躍進した。ブラジル企業は5社のままであった。その他の有力新興国では、メキシコはランクイン企業が5社維持された。南アフリカではランクイン企業はなかった。

アジアでは、韓国は1社増え15社となったが、台湾は6社のままである。シンガポール、マレーシア、タイも1社のままであった。

成長性と収益

「Fortune Global 500」の中でもっとも成長(売上高)の早いのは新しくランクインしたインド企業のタタ製鉄であった。M&Aを活用したタタ製鉄は353.2%の成長率を遂げた。インドナショナルバンクも48.2%の高い成長を遂げた。ほか中国企業の成長も目立った。

利益額では欧米企業がトップ10を独占した。利益額第1位は米エクソンモービルで利益額が406億ドルとなった。ちなみに、トヨタは150億ドルで12位、中国石油は149億ドルで14位であった。

収益の伸び率では中国企業が突出した。収益伸び率トップ10のうち中国の中国人寿(伸び率1,588.4%)、第一汽車(同842.8%)、上海汽車(同643.9%)、中鉄建設集団(同489%)が第1、2、4、6位を占めた。ちなみに、日本のソフトバンクの利益は286%成長で第11位と健闘した。また、タタ製鉄は224.8%成長の第17位であった。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 台頭する新興国企業:2008「Fortune Global 500」を読む [190 KB]